ここ数日、何冊かの料理本に目を通していました。たまたまそんな流れが来たのですが、その1冊が先にご紹介した「天皇陛下料理番の和のレシピ」でした。他にも私の手元にあった本を吟味すると、やはりマクロビオティックの視点から受け入れ難い面があります。いくら長い間食通を唸らせたお店の主が書いた本であっても、それはお店で提供する場合のお料理なのです。ということは、グルメ料理ばかり食べていては体に悪いということの裏返しでもあります。何と言ってもお砂糖がホイホイ使われているレシピはお勧めできません。
中川さんにお聞きすると、昔はお砂糖をよく使ったお料理の時代もあったそうです。ですから、時代背景やその料理人さんの趣向も影響するので、いくら盛付けが素晴らしくても、その本をご紹介するのは控えることになってしまいます。器の選び方と材料の切り方のバランスまで考えると、本当に参考になる本がありません。というか、サッと器が用意されて、この器に合う料理をせよという課題をこなせる実力がないとダメということになります。そんな視点で合格する本なんてそうそうあるものではありません。
ですから、OBENTERSの皆さんが毎朝中川さんから受けている指導内容は凄く高度な世界ということになります。ただ美味しいだけでなく、まずは健康を考え、「格」を落とさず、素人でも作りやすく、さらに陰陽で洗い直したお料理のレベルなのです。ここまで追究したマクロビオティック料理はきっと他にないはずです。改めて中川さんとの出会いに感謝し、少しでも長く指導していただきたいと心から思ったことでした。
ある本に良い言葉を見つけました。「味を迎えに行く」という表現です。これは季節の素材にはその時季特有の旨味があるので、それがどれだけの味を出してくれるかで変わってくるから、いつも同じように調味料を加えれば良いのではないことを言っています。素材の持ち味を極限まで引き出すために「味を迎えに行く」という表現は素晴らしいなあと感心しました。
それからこれは経験的に多くの人が分かっていることですが、お料理は冷めると味が2割ぼやけると書いてありました。ですからおせち料理やお弁当を食べて美味しいと感じるためには、味を濃い目にするのですが、2割という数字はなんだかちょっと多いような気がしてしまった私です。私がお料理は作りたてが一番美味しいと感じるのは、温度の影響もありますが、素材の味が一番感じられるからです。味に関してあれこれ書き出すと切りがないのでこの辺でやめますが、マクロビオティックを知った今となっては、やはり陰陽バランスの取れたものが一番美味しく感じます。
(椎茸の旨煮 料理:陰陽京料理人 中川善博)