スクラッチ度とシズル感と

「前社長がしていたことで」
今年の流行語大賞にノミネートされるのだろうか?
通称腹話術女将がまたまたヒットを飛ばしてくれた。
この女将はよほどプライドが高いのか、負けず嫌いなのか、記者達の
故意にムッとさせる質問に見事に引っかかってくれるのだ。
言わなくてもよい一言がポロポロ出てくる。
そしてメディアの編集という名の情報操作で視聴者が喜ぶキャラクター
としてオンエアされるのである。
それはよいとして、問題なのは残飯を次の客に回して堂々と定価で
売り上げを上げていたことである。
捨てるのがもったいないのであれば家族や従業員のまかないにすれば
よいこと。 そもそももったいないという言葉の使い方を間違っている。
その前社長に言われてハイハイと言うことをきいて残飯を使い回しして
いた料理人も料理人である。 馬鹿者が!
もっと大馬鹿者はそんな店をブランド力のある高級店として利用して
いた客であろう。
少し味のわかる人間であれば温めなおした料理とできたての料理の
違いくらいはわかるものだ。 そんなこともわからずに高ければ良いと
詣でている大馬鹿者が何年間もの愚行を許したのだ。
恥ずかしいと思わないのだろうか?
先代が草場の陰できっと泣いておられるだろう。
おそらくここの女将や料理人達にコンビニ弁当やファーストフードを食べ
させたらこう言うだろう。「こんな身体に悪そうなもんは食べられません」
と。 しかしね、コンビニ弁当やファーストフードはね、たっぷりと時間を
とった賞味期限を固く守って時間が来たら廃棄するんですよ。
お客様に鮮度の良い商品を提供するために。
一人前何万円も取って残飯を大事なお客様に食べさせたのだから
この人たちに料理をする資格は無いと思います。
でも止めずにがんばります。とおっしゃってましたから猛省の上に猛省を
し、全員で麒麟になってがんばってほしい。
人の噂も七十五日、喉元過ぎれば熱さ忘れるという言葉がある。
喉元を過ぎるのに時間がかかる麒麟になっていただきたい。
社長の首をすげ替えて頭を下げてしばらく辛抱していたらすぐに誰も
言わなくなるから。という作戦は失敗に終わったのです。
料理というものは食べてくださる相手の事を思いながら気を込めて心
を込めて作るものである。
しかもその込めた気は長く料理に留まることはないのである。
1日間。 長くて2日。
だから冷凍食品やレトルト食品は旨くないのである。
機械で作ったおにぎりよりお母さんが作ってくれたいびつなおにぎりの
ほうが旨いのは誰でも実感したことがあると思う。
「シズル感とスクラッチ度」
こんな言葉も覚えて頂くと料理の感性を高めるのに役に立つかもしれ
ません。
シズル感というのはたとえば昨日の絹さやのブランチングしたての青さ
湯気加減で「うまそー!」と感じさせる様子。
焼きたてのステーキやハンバーグがジュージュー言ってる状態もシズル
感の高い様子ですね。
このシズル感は焼き直した鮎の塩焼きや揚げ直した天ぷらでは感じら
れないはず。 
スクラッチ度とはDJがレコード盤をきゅきゅきゅきゅしてるわけではありま
せん。
飲食店の「手作り度」と訳せばよいでしょうか。 原材料からすべての
行程を経て料理を作る店をスクラッチ度が高いと表現します。
今流行の焼きたてパン屋さんにも使われます。
パンを粉から合わせて生地を捏ね、発酵させてパンを焼く店を完全
スクラッチ店と呼んだりします。
今はだんだん少なくなってきて、CKで作った冷凍生地を凍ったまま
店舗にあるオーブンでバイトが焼く店が増えています。
食えれば良いというものを作るのか?
食べてくださる人の健康や幸せまで考えて調理するのか?
ちゃんとしようぜ!

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コメント

  1. マクロ美風 より:

    消費者はまっとうであって欲しい。
    経営者もまっとうであって欲しい。

    買うと言う行為は、その企業(お店)を支持するということ。
    支持したい経営者にお金を払うのが消費者というもの。

    はっきり言って、吉兆にはお引き取り願いたい。

    まっとうが日の目をみる世の中であって欲しいから。

  2. macrobi papa より:

    冷凍餃子にしても、今回のレンジでちんした鮎にしても、
    自分で判断していくということを、突きつけられているように思います。
    皆、騙されたとテレビで文句を言いますが、口に入るものは自分が選択したもの。
    結果の善し悪しに関わらず、その責任は自分にあるのだと思います。

    大量生産の効率性や企業利益を追求していくと、食べてくれる人のことを想い作る気持ちを無くしてしまいます。

    料理人は、お客様に喜んで頂いてこその職業かと思います。
    吉兆さん、頑張って欲しいです。

  3. Ree より:

    善さん
    あまりにも過ぎて開いた口が塞がらないとはこの事ですね。
    飲食店でずっとバイトしていましたがこんな事をする人は
    幸い(当然)お目にかかりませんでした。
    吉兆で修行と堂々名乗ることはいまは恥となりそうですね。

    商談だったり品数が多くて再度出されたものに
    手をつかなかったらまた出したんかしら。
    値段やねーむばりゅーで食したひとは
    こんなものだと思ったのかしら。疑問はつきません。
    どっちにしても鮎やきちんと料理された素材が気の毒。
    きちんと料理されたかもいまは怪しいですが。

  4. zenemon より:

    美風さん こんにちは。 コメントありがとうございます。
    おー! お怒りですね。 ごもっともです。

    ・・・お引き取り願いたい。
    本当は私もそう思います。「出てけっ!」と叱りたいです。
    でも料理する人間のはしくれとして、言えないんですよねぇ。
    経営する側と消費する側の違いなのでしょう。
    美風さんは「ちゃんとした」消費者の代表としてもっともっと
    もの申す人であって下さい。 宜しくお願い致します。

    そしてこれだけは言えます。
    経営はお客様がおられて初めて成り立つものなのです。
    それを忘れた者は遅かれ早かれ朽ち果てるでしょう。

  5. zenemon より:

    パパさん こんにちは。
    コメントありがとうございます。

    どうもあの方たちは
    喉元過ぎるのを待ってる感じがしますよねー(笑)
    ちゃんと反省するまで私は応援はしないです。

  6. zenemon より:

    Reeさん こんにちは。

    身から出た錆。
    この言葉をこれからじっくりじっくり味わって頂きましょう。

    悪いことをした人と同じ数だけ良い行いをする人がいるのです。
    byジョンタイター(笑)

  7. fujitamanegi より:

    「もったいないから、使い回ししました~」っていうのは、まあせいぜい家庭の中でだから許されることであって、多くの、その店の味を求めてやってくる人々に対しては許されないこと・・・って当たり前だと思っていたのですが・・・。

    この店が与えたのは、食品業界への更なる不信感ですね。
    もう外食なんて、怖くて出来ないなぁ・・・。
    と、思っていても、そのうちまた皆忘れてしまうんでしょうか。
    で、また第二の吉兆が出てくるのでしょうか。

    提供する側も、消費する側も、心していかねば。

    師匠、先日のブログを拝見してから、大葉の天ぷらを二日に一度はチャレンジしているのですが、なかなか「これ」といったものが出来ません。修行不足です。精進します。

  8. zenemon より:

    fujitamanegiさん こんばんは。 コメントありがとうございます。
    当たり前のことを当たり前にし続けるということは難しいのです。
    正食も同じです。 当たり前のように正食を続けることがいかに偉大で
    いかに難しいか。

    外食などの食品業界のことなど気にされなくてもかまいませんよ。
    たまに家族や友人と外食するときは身体に良い悪いなどとは気にしな
    いで場の空気を楽しんでください。
    帰ってまた正食を楽しめばよいのです。

    肩の力を抜いて参りましょうね。

    大葉の天ぷらはどのようになってしまうのですか?
    具体的に教えていただければヒントを差し上げることができます。
    良かったら教えてくださいね。

  9. まさみ より:

    初めまして。
    美風さんのブログからこちらへおじゃましました。

    本職は別にあるのですが、
    野菜ソムリエとしてアルバイトもしています。
    農・食に関する仕事をする方とお会いすることが多いのですが、
    意識の高さ、低さを実感することにもなります。

    すごく印象に残っているのがきゅうり農家さん。
    「自分なりの育て方やこだわりなんかのプライドはいらない。
    “こんなきゅうりが食べたかったのよ”と
    思ってもらえるものが作りたい。
    “おいしい”と笑顔で言ってもらえるものを作りたいんだよ」
    そうおっしゃってました。

    その思いが、この方のプライドなんだと思います。
    食べる側をきちんと向いている人だと感じました。
    そんな思いの人が増えたら、
    食のいろんな事件も起こらなくなるのでしょうね。

  10. zenemon より:

    まさみさん こんばんは。 はじめまして ようこそです。
    野菜ソムリエさんならお気づきかと思いますが、今の有機JASマーク認定は決して無農薬無化学肥料認定ではありません。
    このことを丁寧におばあさんにも子供にも説明する義務があると思うのですがそのような活動はされていますか? 野菜ソムリエこそこれをするにぴったりの職業だと思っています。一考のほど宜しくお願い致します。
    作る側も売る側も食べる側もプライドを持って生きていければ幸せになれるのですが、プライドでは金は儲かりません。って輩が多すぎますね。
    私たちが良い見本となるような生き様を見せていきましょう。」

  11. GAMI より:

    最近、食に関わるニュースが賑わせていますね。
    しかし、ああいうニュースを見ると、老舗だからこそ、しっかりしていただきたい気分ですね。
    私の住んでいる三重でも、昨年おおいに賑せしてくれた老舗があります。少し前からまた製造販売されるようになり、駅などでも良く見かけるようになっております。先日、知り合いから「朝から並んで買ってきたよ~。」とお土産に頂きました。家族で頂きながら、「いままで食べてたのは何だったのか?」と考えたら、ちょっと複雑な気持ちでした。

  12. zenemon より:

    GAMIさん こんにちは。 コメントありがとうございます。
    三重県にお住まいですか。 ありましたね おかげ横町で。
    かの店は下宮の神罰はくだらないのでしょうか? 怖いです。
    買う人がいるから店は流行るんですよね。
    買うか買わないか。 答えはシンプルなんですけどねぇ。(笑)

  13. GAMI より:

    お伊勢さんまで、車で30分もあればいけますから、
    こないだも、昼ごはん食べてから、思い立ってお伊勢さんにいきました。
    もちろん買いませんでした。(^-^)v

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