マクロビオティック料理教室としての むそう塾スタイル
先日の愛クラスで、初めての受講者さんから「むそう塾はマクロビオティックの料理教室なのに、どうして鶏の唐揚げを教えるんだろう?って思っていました。」というご意見がありました。
これはマクロビオティックを知ると、多くの方が最初に「動物性・乳製品・白砂糖・粉ものはダメ」というタガをはめてしまい、排他的な考え方に支配されるために起きる考え方です。
何を隠そうこの私もマクロビオティックを知ってしばらくはこのかたと同じように思っていました。
しかし、何年もかけて全国あちこちのマクロビオティック実践者とお話をしていると、ストイックなマクロビオティックによって体調不良になったり、夫婦仲や家族仲、はたまた親戚づきあいや友達づきあいに至るまで暗礁に乗り上げている人がとても多いことに驚きました。
どこに行っても相談を受ける内容は、家族が玄米ご飯を食べてくれない、家族が動物性や甘いものを欲しがる、生理が止まってしまったというのがトップ3でした。
私はこのような人たちをマクロビオティック難民だと思いました。
それと同時に、このままこのような人たちを増やしてしまっては社会問題になるとも思いました。
そこで、マクロビオティックで体調を崩している人たちの救済と、間違ったマクロビオティックの解釈を正す場を作るべく、駆け込み寺のような感じで「むそう塾」を立ち上げました。
まずは一番問題の多いまずい玄米ご飯を何とか美味しく体に良い状態で食べられるようにしてあげることが緊急の課題でした。
そこで玄米ご飯の炊き方を教える「愛クラス」を始めました。
幸いにも中川善博さんという素晴らしい実力をお持ちの方とのご縁があったからこそ、実現できた塾でした。
中川さんの存在なくしてむそう塾はあり得ません。
そのうちにお料理も教えてほしいという声が多くなって、「幸せコース」を始めたわけですが、その変わった名前は単純に受講生とそのご家族の幸せを願ってのことでした。
一流料亭の味はそのままで、作り方を易しく簡単にアレンジした中川式の料理法は、主婦やお嬢さんたちに喜ばれ、結果としてそのご家族が美味しいお料理で笑顔になり、まさに幸せコースの名前どおりになりました。
生理が復活して赤ちゃんを授かった人たちも多くなりました。
その後もっと多くのお料理を習いたいという声に押され、「上級幸せコース」を始めたわけですが、そこにはご家族の喜びそうなメニューも盛り込みました。
その一つが「鶏の唐揚げ」だったわけです。
この唐揚げの美味しさは食べた人でなければ分からないでしょうが、あまりにも美味しくて、この唐揚げを習いたいから上級幸せコースに申し込むという人までいました。
お肉を食べたい人には美味しいお肉料理を、お魚を食べたい人には美味しいお魚料理を手作りしてあげて、体の負担にならないような料理法と食べ方のバランスをお伝えして、マクロビオティックの理論を無理なくあてはめて暮らすことをみんなで愉しんでいるのがむそう塾です。
マクロビオティックの料理教室のほとんどは、動物性を使わないお料理を教えていますが、現実の社会では動物性食品が溢れており、その中で子育てをしたり、ご家族のお食事を用意しなければなりません。
人づき合いもしなければなりません。
そんな現実を直視すると、動物性のお料理も教えてあげるのが良いと判断してのカリキュラムでした。
一般的にはマクロビオティックは動物性を排除するものと理解している人が多いのですが、それは絶対的なものではなく、体調によっては動物性を取り入れることもあります。
あくまでも陰陽で考えて、陽性の力を借りたいときにそのような判断を下します。
私が一時期にせよ、冒頭の質問者のように動物性を「摂ってはいけない」と信じていた時は、まだまだマクロビオティックの奥深さを理解していない時でした。
今では「動物性をいただく場合は質の良い物を少量だけ」と言える私になりました。
このような背景があって、むそう塾のカリキュラムに登場するメニューには和洋中が混在して、「病気になりにくいための美味しいお料理」が並んでいます。
そして、マクロビオティックの「無双原理」を大切にして、幸せにスマートな人生を歩むことを「むそう塾スタイル」と位置づけて、みんなで愉しく心地よい生き方を目指しています。
そのむそう塾スタイルの土台は、玄米ご飯を原則とする主食の存在を重要視することです。
主食をしっかりと体調に合わせたものにして、おかずは陰陽を考えた上で変化を楽しみます。
お料理を通して人生を哲学するマクロビオティックの考え方にピッタリ沿ったカリキュラムにしてあります。
では、ちょっとお料理の写真をご紹介しましょう。
最初は件の唐揚げです(笑)
写真では味も香りも伝わらないのが残念です。
キャベツの千切りはこんなに細く、糸のように刻みます。
ふわっと軟らかくてウール玉のような食感です。
これは上級幸せコースのレベルです。
次はお魚に行きましょうか。
むそう塾ではお魚を一尾おろすところから始めます。
写真の彼女は左利きだったのですが、お箸の持ち方講座で右手にお箸を持つようになり、ついには包丁も右手で使うようになりました。
もちろん、桂むきも右手で剥きます
鯵のお造りが出来ました!
どうですか? 素敵だと思いませんか?
アップにすると、こんなにもイキイキとした表情をしています。
ところで、お刺身は好きでも煮魚は苦手という人がいます。
それはきっと美味しい煮魚に出会っていないからですね。
むそう塾でお教えする煮魚は、そんな煮魚嫌いの人でも大絶賛で「うまい!」と唸ってもらえる美味しさです。
煮魚革命が多くのご家庭で起こりました。
ではいよいよ基本のこんなことあんなことに行きましょう。
むそう塾幸せコースの第一限目は糠漬けです。
健康になるための体の土台作りをするべく、腸を整えることを目的にしています。
そのために糠漬けを漬けられる人になってもらおうというものです。
この糠漬けでアトピーが改善した人も多いです。
試食の糠漬けに次々と手が伸びます。
どなたも糠漬けがお好きなのがよく分かります。
糠漬けがすんだら包丁砥ぎです。
包丁を砥いだことがない人も多く、なかなか感覚がつかめないのですが、最後の最後までお料理の仕上がりを左右するのが包丁の切れ味なので、絶対に譲れない重要な授業内容です。
これが出来ない人は単発講座でも救済しています。
包丁が仮に及第点の砥ぎになったとしても、包丁の持ち方が正しくなければ材料はきちんと切れません。
皆さんが苦手なのがこの引き切りの持ち方です。
そして、一定の厚みで切ることが一番難しいようです。
これが出来なければ材料の大きさや形が一定しないため、お料理にムラができて仕上がりが汚くまずくなります。
こうして左手の人差し指で倒せない人もかなりいて、現代人の包丁生活の貧弱さをうかがわせます。
横から見た角度はこのくらいなのですが、この角度を保てない人が多いですね。
角度には重要な意味があります。
そうそう。
左手がこんなふうに猫の手に出来ない人も多いです。
包丁の角度もさることながら、包丁と左指の接する部分が最高の重要センサーで、この感覚をつかめない人は最後まで薄く切ることも、安定して切ることもできません。
ここまで出来たらむそう塾名物の桂むきです。
桂むきは難易度が高いため、1か月間の投稿期間を定めて、「桂むき投稿」なるものをして、全員の技術の向上を目指します。
その結果、こんなに素敵な笑顔とともに練習の結果が報われることになります。
こんなに綺麗な桂むきを、ご家庭の三徳包丁で仕上げたと知ったら、プロは腰を抜かして驚くことでしょう。
現に京都の有次さんのかたもこの桂剥き投稿の記事を読んでくださっていて、ビックリされています。
桂むきが出来るようになると、栗の皮むきもこんなふうに出来るようになるはずなのですが、出来ない場合はまだ桂むきを本当に理解していないことになります。
桂むきが出来るようになったら、この飾り切りも綺麗にできるはずなのですが、(;´д`)トホホ…なかたもおられます。
そんな人は栗と同じく面圧の解っていない人ですね。
ところで、むそう塾には大事な授業として盛り付けの時間があります。
まずは盛り付けの理論をご説明するのですが、その奥深い内容に涙してしまった塾生さんもおられました。
感性の鋭いかただと思います。
こんな盛り付けも楽しいですね。
お弁当の盛り込み方は、お皿に盛りつける場合と同じではいけません。
時間が経つことと、動くこと、さらに食中毒の危険性も考えなければなりません。
そんな注意点を踏まえて色々な形のお弁当箱で練習します。
むそう塾は食べることばかりをしているわけではありません。
日本に伝わる伝統料理を大事にしつつも、食文化も大切にお伝えしたいと思っています。
その一つとして、日本人なら絶対にお箸は美しく持ってほしいです。
こんなふうにお箸の持ち方講座もしています。
かと思ったら、こんなふうにハレの日にふさわしいお寿司も作ります。
玄米ご飯のちらし寿司ですが、上に載っている動物性をもどき料理にすることはしません。
しっかりと陰陽バランスは取ってあるからです。
美味しくて玄米ご飯とは気づかずに一気食いしてしまう自称玄米嫌いさんもいます(笑)
巻き寿司は白米でお教えしています。
見た目の美しさと伝統的な食文化を大切にしたいからです。
お土産やお礼に差し上げて先様に大喜びされた経験の持ち主も多いです。
この出汁巻き玉子の練習もむそう塾名物です。
難易度は高いのですが、マクロビオティックとは無関係の人が大喜びして下さるお料理の一つで、円滑な人間関係に一役かってくれた報告もたくさん届いています。
このふんわりした出汁巻き玉子が上の巻き寿司に入ります。
下の稲荷寿司と合わせて「助六寿司」にして、出勤するご主人に持たせる塾生さんもいるほど手際よくできる方法が中川式の凄いところです。
この中川式稲荷寿司は玄米ご飯が中に入っているのですが、白米の稲荷寿司より美味しいので、玄米ご飯でお教えしているものです。
作り方は他の中川式料理と同様に実にシンプルなのですが、お味は抜群で、これ以上美味しい稲荷寿司ってあるのだろうかと思うほどです。
これも中川式玄米炊飯が出来てこそのお料理ですね。
基本はやっぱり玄米炊飯です。
幸せコース、上級幸せコースともに、普段使いのお惣菜を中心にお伝えしています。
毎日食卓にあがるむそう塾メニューは、安心して食べられて美味しくて、ご主人たちにも大絶賛されています。
「お願いだからむそう塾でお料理を習って来てくれ」とご主人に懇願されたという逸話の持ち主もいらっしゃいます。
これは男性の味覚を大事にした味付けと材料の使い方だからですね。
このお料理も人気度が高いのですが、玄米ビーフンを使っているところがマクロビオティックの料理教室らしいところです。
ところで、緊急を要するような体調の方がご家族におられる場合には、鉄火味噌の作り方をお教えしたり、胡麻塩の作り方もお教えしたり、あるいは医療と連携して食事面をサポートしたりしています。
それは決してマクロビオティックの名のもとに、西洋医学を否定することのないように配慮し、なおかつ東洋医学とも手を携えて、食事面の大切さをお伝えすることに心血を注いでいるからです。
病気を治すことを主眼とするのではなく、病気になりにくい暮らし方を心身両面から実現していくことを目指し、そのための生き方を「むそう塾スタイル」として実行しています。
この記事が少しでもむそう塾の動物性メニューのご理解の助けとなりましたら幸いです。
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