ものの道理をわきまえる
これはにしんそばでお馴染みの松葉という蕎麦屋の季節限定のメニューで「松茸そば」である。
先日京都駅で注文したらこれが出てきた。 普段は麺類の盛り付けはそう気にはしないしならないのだけれどこれは違った。 「お、これはみんなの勉強になるぞ」と残しておいた。
何度も同じメニューを注文していたがこの日の調理担当者は老齢なのか、ベテランなのか盛り付けを解っている人物であることは間違いないであろう。
これは古伊万里の染付皿である。 枝ぶりの良い松の木が描かれている。
空には雲、地には草花。
これは古染付の皿である。 ここにも松が描かれている。
空には雲、天を貫くような高い山。海には船。
これは柿右衛門の赤絵皿である。 鶉は地を歩み、草木は地から天に向かって生えている。
先の松の木もそう。必ず天に向かって木々は生えているように描かれる。
盛り付けも同じなのだ。
そばに盛りつけた松茸は浜の松林のように根を下に傘を上に盛りつけ、裾には芝草のようにほうれん草が添えられている。
鶏は飛ぶか飛ばずかの位置に。袴に切った吸口の柚子は広い辺を下に。
すべてものの道理のように、あるがままの姿を模してもりつけるのである。
毎日のOBENTERSの盛り付けを見ていても時々「これはダメ」という間違いを知らずにおかしている者がいる。
習わなかったし、だれも教えてくれなかったのだから知らなくてもひとつも恥ずかしいことでは無い。 義務教育に盛りつけは無いのだから。
縁あってむそう塾に集い、毎朝早起きしてOBENTERSに参加し続ける仲間にはせめて正しい盛り付けを伝えておきたいと思う。
盛り付けに難しい知識は不要なのだ。
ものの道理をわきまえているだけで良い。
カテゴリー: | コメント(3)
中川さん、こんばんは。
またまた、ためになる記事をありがとうございます。
>すべて ものの道理のように、あるがままの姿を模してもりつけるのである。
「なるほど!シンプル!」
いえ、いえ。
言葉や頭で理解するだけなら簡単なことですが、実際これを表現するのは容易ではありません。
それを毎朝のOBENTERSの投稿の中で感じています。
中川さんが指し示してくださった言葉の概念のその先、感性の世界まで入っていけるよう精進します。
Don’t think feel.
It’s like a finger pointing away to the moon.
Don’t concentrate on the finger, or you will miss all the heavenly glory.
感じる。。。
大切にします。
ありがとうございました。
中川さん、こんばんは。
中川さんがお料理をされている姿の中で、盛り付けをするところを見るのが実は一番好きです。
毎回絵を描くような無駄のない動きに釘付けになります。
天に向かってすくすく伸びる松茸が気持ちよさそうです。
ものの道理をわきまえているだけで良い。
この言葉の意味を、講座で、また毎朝のお弁当投稿で学ばせていただける環境に感謝します。
今後ともご指導よろしくお願い致します。
中川さん、こんにちは
いつものOBENTERSでもお料理の復習時にも数々の失態を思い出し赤面しております。どんな時(下手な盛りつけ)でも、分かりやすくなぜいけないのかを教えてくださりありがとうございます。わからないながらも、みてみて考えて毎日過ごしています。
今回のおそばの盛りつけも、とても興味をもって見せていただきました。器のなかに世界があるのですね。
毎日、沢山の学びの機会をありがとうございます。