私がマクロビオティックを知ったのは、夫の同業者がくださった一冊の本でした。
私は息子のアトピーを治したい一心で、藁にもすがる思いで翌日から「リマ・クッキングスクール」に通い始めました。マクロビオティックを始めると一家でどんどん体調が変化し、その素晴らしさに感動しているうちに師範科を修了しました。
特に大森英櫻氏から学んだ無双原理の理論は、それまでの価値観を180度変えてしまう力を持っており、どんどん傾倒して行きました。そのうち、日本CI協会や正食協会を中心とするマクロビオティックに加え、「クシ マクロビオティック」が日本にも拡がり始め、それとともに浮上するマクロビオティックの問題点に対して正しい情報を発信するべくブログを始めました。
それと併行して「マクロビ井戸端会議」や「美風ゼミ」を全国各地で開催し、北海道から沖縄まで何年もかけてマクロビオティック実践者の声と実態に触れて来ました。この全国行脚は今でも実に有意義な勉強だったと思っています。私のマクロビオティックの根っこはこの時代に確立されました。
そこで目にしたものは、マクロビオティックの理想とはほど遠く、悩み苦しみ、もがく人たちの多さでした。マクロビオティックが正しく伝わっていれば避けられたことなのに、極端な解釈のみがひとり歩きしたための不幸がゴロゴロとしているのでした。まるでマクロビオティック難民と呼んでもおかしくない現象でした。私は日に日にマクロビオティック難民を救いたい思いが募って、マクロビオティックの「駆け込み寺」を作りたいと真剣に考え始めていたのです。
そんな時に何年も前からのブログ仲間だった京都の中川善博さんにお目にかかることが出来、中川さんの炊かれる玄米ご飯の美味しさ、お料理の美味しさに釘付けになりました。その後、中川さんと毎月お話を重ねていくうちに、中川さんのお料理には見事な陰陽の世界があって、それまで私が知っていた陰陽とは別次元の陰陽を見せてくださったのです。お料理を通してここまで陰陽を極めた人を私は見たことがありませんでした。正直言ってお料理にそこまでの力を感じていなかった私は恥ずかしい思いでいっぱいでした。
そうして私自身が中川善博さんという人から学びたいという思いが強くなりました。お料理を通じて人間の根本を知ることが出来、なおかつ健康になり、美味しいお料理で家族全員が笑顔になれる。そんな世界が可能なんだと知って、ぜひマクロビオティック難民だった人たちにこの世界をお届けしたいと思うようになりました。その上で中川善博さんに一緒に塾をしてほしいとお願いしたわけです。幸いにも中川善博さんに私の想いが通じて、2008年から私の京都通いが始まりました。
埼玉に住む主婦と京都で営業している現役京料理人。面白い組み合わせですが、二人をつないでいる共通の想いはただ一つ。
「ほんまもん」を伝えたいだけです。
・生き方のほんまもん。
・料理のほんまもん。
・子育てのほんまもんなどなど。
息子はアトピーになってつらかったけれど、私にマクロビオティックをプレゼントしてくれました。中川善博さんは奥様とお嬢様にマクロビオティックの道に引き寄せられました。これは子供たちからもらったライフワークなんだと思います。そうであるならば、このご縁を大事にして、お若い皆さんへの応援の場としての「むそう塾」でありたいと思っています。そして、むそう塾が「人間塾」としても機能して、皆さんの心の故郷になれたら嬉しいです。