マクロビオティック料理とマクロ美風の体験(陰性の質)

マクロビオティックを始めたばかりの頃、私は食事を変えたら何でも良くなることがいっぱいあるんだと思っていました。
それまで持っていた膨大な料理本は98%処分して、新しく陰陽の視点でお料理をすることにしたのでした。
もともと調味料は厳選していたのですが、お酒とみりんも使わない料理法のため、それらを新しく買うことはしませんでした。
独身の時から白砂糖は使っていなかったのですが、甘酒と菊花かぶの時だけは白砂糖を使っていました。色の関係でね。
ただ、お酢もダメということでこれには参りました。
だって私は酢の物が大好物だったからです。
ストイックにマクロビオティックを実践しようと思ったら、私がそれまで使っていたお気に入りのお酢ではなく梅酢にする必要がありました。
しかし梅酢では色がついてしまいます。
そうこうしているうちに酢の物も食べない生活に慣れました。

白砂糖を他の甘味料に置き換えてお料理をしても味の限界があります。
ですから私はマクロビオティック仕様の甘味料を使うことも減ってしまい、お料理の種類も少なくなってしまいました。
そのうちに本当に体は陽性になって来ました。
もともと私は陰性タイプだったのですが、明けても暮れてもマクロビオティックのことを考えて、マクロビオティック料理を食べて、マクロビオティックの先生や仲間と過ごしていたら、知らず知らずのうちに中庸を通り過ぎてしまったのです。
もちろん、毎日が楽しくて、睡眠時間が極端に少なくても平気で効率の良い日々が過ぎていたのですが、長年続けていたお料理への懐かしさみたいなものが時折顔をもたげることがありました。
それは処分した本に載っていた「ふつうのお料理」の世界でした。

そのことを当時はどう受けとめて良いのか分かりませんでした。
でも、その後山村慎一郎先生との出会いで私のマクロビオティックは変わりました。
山村先生は私に「もっと陰性を取った方がいいよ〜」と独特の慎ちゃん節と笑顔でおっしゃるのです。
慎ちゃん(二人の間ではこのように呼んでいます)は私に陰性の大切さを教えてくれた大事な先生です。
それまでの私は陽性へ陽性へとなっていましたが、慎ちゃんと行動することによってどんどんと陰性が入って来ました。
お料理にだって使わなかったあのお酒を慎ちゃんと飲んだり、白砂糖とお酢の入った酢の物やお寿司を食べたり、白砂糖もバターも生クリームも牛乳も使ったお菓子を食べたり、それはそれは天地がひっくり返ったような日々でした。

でもそんな日々が突如訪れたことによって、私の体も思考も中庸になっていくのが良く判りました。
一番変化があったのは、ストイックにマクロビオティックが出来ない人に優しくなれたことでした。
むしろ、ストイックなマクロビオティックってどうなんだろうって考え直すきっかけにもなったのです。
慎ちゃんからはマクロビオティックの食べ物というより精神面での影響を大きく受けました。
人間の弱さや哀しさや無常感。
どうにもならないことがこの世の中にはあるんだということへの気持ちの持ち方など、それは師としてより同年齢の親友みたいな感じでの共有でした。
朝まで呑んだり笑ったり涙したり、時には慎ちゃんのムードたっぷりの歌を聴かせてもらったり。

そんな中で私は陰性の良さを学んだのでした。
陽性ばかりに走ると人間は疲れます。
その疲れが甘いもの(陰性)を求めるのですが、それを食べ物だけで解決しようとするのがマクロビオティックをかじった人の悪いところです。
私もあれほどマクロビオティックは哲学であり食べ物だけではないと頭では知っていたのに、行動で実行出来ていませんでした。
気づかなかったんです。盲点でした・・・。
私は慎ちゃんから体ごとマクロビオティックを教えてもらった気がしています。
今こうして思うのは、現代人には良い陰性が必要なのに、それを甘いお菓子や飲み物でバランスを取ろうとしていることの多さへの驚きです。
精神的に良い陰性を得られたら、そんなにお菓子や飲み物に手を出さなくても陰陽のバランスが取れるのになぁと思います。

精神的に良い陰性で一番効果的なのは愛です。
愛情に満たされることが最高で良質の陰性です。
親子の愛、異性同性の愛、ペットとの愛、物を育む愛などたくさんの愛がありますが、この愛が満たされていれば、物質的な欠乏はあまり気にならなくなります。
物質優先の生活から精神優先の生活に意識が変わると、人生そのものが変わります。
これが本来のマクロビオティックであり、桜沢如一先生が伝えたかった考え方でもあります。
マクロビオティック料理の域から脱出できて初めてマクロビオティックの本当の素晴らしさを知ることになるのです。

私は思います。
人間を癒すのは人間なのだと。
誰かとしっかり繋がっている心強さ。
絶対信頼できる関係。
それらは人を強くします。
陰性から陽性が生まれるんですね。
だから陰性も必要なのです。

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(菊花蕪 by 中川善博)

 

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コメント

  1. おはる より:

    美風さん、おはようございます。
    深い記事をありがとうございます。
    青い鳥は掌の中に。
    そんな気持ちです。
    先の、結ぶ、の記事とあわせ、
    日々の周りとのふれあいを感じ、楽しみ、
    味わっていきたいです。

    • マクロ美風 より:

      おはるちゃん、こんばんは。

      >青い鳥は掌の中に。

      そうかも知れませんね。
      すべては自分次第。
      そんな要素が強いです。

  2. Lisa より:

    美風さん

    記事ありがとうございます。
    読んでいて深く染み入ってくるお話がたくさんありました。

    「陽性ばかりに走ると人間は疲れます。
    その疲れが甘いもの(陰性)を求めるのですが、それを食べ物だけで解決しようとするのがマクロビオティックをかじった人の悪いところです。」
    のくだりなど、まさにかつての自分に当てはまりました。
    マクロビオテックしている『つもり』だったんだなあと気付くことができました。
    私の場合は陽性さの良さをむそう塾で教えていただきました。

    「愛情に満たされることが最高で良質の陰性です。」の言葉には目から鱗でした。
    がーんと鐘をつくような衝撃を受けました。
    そこから最後の段落まではこれからも幾度となく読み返し思い出して大事にしていきたい宝物の記事です。
    本当にありがとうございました。

    • マクロ美風 より:

      Lisaさんのマクロビオティックはスタートが陰性寄りだったので、陰性過多の状態でしたね。
      陰性と陽性を食べ物だけで考えるのではなく、もっと全体でとらえられるようになるとグンと体調も良くなりますよ。
      食べることはマクロビオティックの一部分であることを肝に銘じましょう。

  3. まっこうくじら より:

    山村先生に実際にお会いして、その中のお話で、陽性が過ぎる事での過食と飲酒の関係性を教えて頂きました。
    リマクッキングの思考になっていた私は、「おお!なるほど!そうだよなぁ〜、凄い!!」と納得してしまったのです。
    思考が盲目になっていのを思い知らされた瞬間でした。「凄い!」と何度も思わせてくれるマクロビの世界が、大好きです。山村先生に、もう一度お会いしたいなぁ。。。。。

    • マクロ美風 より:

      まっこうくじらさんも山村先生から陰性の良さを教わったお一人なんですね。
      リマの思考になっていると、それはショックなくらいの刺激になると思います。
      陰性も陽性もどちらも使いこなしてこそのマクロビオティック。
      盲目的思考は卒業ですね。

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