ちょっと背伸びしてみる

人間って結構狭い世界で一生を送るんですよね。
地球のほんの一部分で一生を終える人がほとんどです。
私は北海道から出て、あちこちの土地で暮らしを楽しんだけれど、私の両親はずっと生まれた町で一生を終えました。
ですから案外一定の価値観で生きていたように感じます。
唯一両親の価値観が大きく揺らいだのは戦争体験だったはず。
それでも一本筋の通った価値観が子供心に伝わって来たのを感じます。
中学生の頃には理解出来なかった父の価値観は、30代で男社会の裏面を見続けているうちにとても理解できて、父の価値観を尊くさえ思えるようになりました。
あらゆる場面において自分の価値観を通しきって生きることは、現実的には大変だけれど父はそれを実行していました。
母も頑固でした。
亡くなるまで自分の主義を貫き通した人でした。
父も母も95歳まで生き、自分の信念に従って生きることの素晴らしさを無言で教えてくれました。
文字通り背中で教えてくれました。
今も思います。
無言ほど効果的な言葉はないなと。
*  *  *
そんな私も実家を出てからあらゆる価値観と出会って行くのですが、一つ言えることがあります。
それはちょっと背伸びしてでも良いから、自分より上の世界に手を出してみることも人生にはあって良いと思うのです。
いつも自分の生まれ育った環境のままで、成人しても結婚してもずーっと同じ価値観で生きるのは、何だかもったいないような気がするのです。
私は好奇心が旺盛なので、自分の知らない世界があるとすぐ覗いてみたくなります。
たとえそれが分不相応な世界であったとしても、見るだけでも見ておこうという気持ちになってしまうのです。
そのちょっと覗くことから大いに世界が変わり、自分の価値観もグググッと変わったりします。
その大変化がこのうえなく楽しいのです。
ここにこそ、まさに「生きている」ことを五感で感じるのです。
この変化のために今までの私はあったんだなぁ、生きているって楽しいなぁ。
そんなふうに心から思えて、幼子のように目がキラキラと輝くのです。
ひとことで言うと「生きることの醍醐味」でしょうか。
*  *  *
きょう息子の車のことで先日のカーディーラーに行きました。
必要書類をお渡ししてから、営業の方とお話をしていて価値観のことになりました。
当然のことながら車を選ぶときには価値観が大いに影響してきますが、どのような車を選ぶかまでの決断の仕方が話題になりました。
標準的な価値観もあるし、冒険的な内容を含む価値観もあるでしょう。
しかし、若いこのとき、長い人生の中でたった数年しか通用しないかもしれない価値観もいいなと思うのです。
この価値観って私の中にある危険な(ある意味破滅的な)因子のいたずらなのです。
でも、これを楽しみたい私はまだまだ懲りない人間のようです。
たった一度の人生だもの。
いたずら因子の言いなりになってみるのもいいじゃないか。
ま、人生のスパイスだと思って。
ちなみに、ちょっとした背伸びはマクロビオティックにおいて許されても良いと私は思います。
それはエネルギーの高揚として、新しい世界への向上心の発露と考えても良いと思うからです。
その案内を「人」がしてくれることもあるし、「物」がしてくれることもあります。
つまり「魂のあるもの」がその役目を担い得るということです。
ですからこの場合は、人も物も「質」を問わなければなりません。
「質」とはマクロビオティックでとても大事にしていることです。
もし何かで迷ったら、質で決めると良いですよね。
質の良さは安らぎと心のゆとりを運んでくれます。
なぜならそこには良い波動が流れているからです。
そこまで考えてこそ、マクロビオティックの素晴らしさも伝わって来るというものです。

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コメント

  1. げんたろう より:

    ワタシは物心共に質については拘ってきたほうだと思いますが、
    背伸びし過ぎて失敗したこともあれば、その内容を知り、ガッカリしたこともありました。

    物については質を追求したらまず、間違えることは殆んど無かったと思いますが、
    心について言えば、今思うとその判断基準が確立していなかったせいか?
    随分間違えたような気もしますし、だからこそ真実が判った部分もありました。

    そういう苦い思いをしたほうが『手抜きはイカン』『出来る限り最高のものに拘ったほうが良い』と思うようになりましたけどね(笑)

    そういう意味ではちょっと背伸びをしないと判らない世界は多いと思いますし、
    色んな経験を積んでこそ、『ホンマモン』が判るようになるのだとワタシは実感したつもりですけどね。

    それによって自分自身の基盤がシッカリしていくのであれば、
    ちょっとした背伸びというものは自分自身を成長させる上では欠かせないものだと思いますけどね。

  2. マクロ美風 より:

    げんたろうさん、こんにちは。

    げんたろうさんはいつも上質に囲まれていらっしゃるようにお見受けしております。
    物心両面で。

    一方私はといえば、自分に欠けている心を求めて、ちょっと上に手を伸ばしたいです。
    私はまだ発育途中の子供のように知らない世界が多くて、それをちょっとでも知る喜びに満たされている日々です。
    他人から教わることって本当にいっぱいあります。

    またゆっくり話したいね~♪

  3. Hisako より:

    いつまでもいたずら因子を持ってる美風さん、お茶目で素敵です。
    そういうスパイスを楽しめる強さとか柔軟さとか必要ですよね。
    背伸びする時は自分をしっかり持ってると受け入れてもらいやすいような気がします。
    高揚感とか向上心とかがゴゴーっと自分を包んだときに負けないように自分の質も高めておこう。
    この夏休みは久しぶりに冒険したくなりました♪

  4. マクロ美風 より:

    Hisakoさん、こんばんは。

    おお、Hisakoさんらしい文章に嬉しくなっちゃいました。
    相変わらず気持ちの良い内容ですね。

    >背伸びする時は自分をしっかり持ってると受け入れてもらいやすいような気がします。
    >高揚感とか向上心とかがゴゴーっと自分を包んだときに負けないように自分の質も高めておこう。

    そうですね。
    どんな時にも自分をしっかり持っていなくちゃ、ただ流されてしまいますね。
    あるいはコピーになってしまうでしょう。

    「ゴゴーっ」の表現がHisakoさんらしくて、情熱的で素敵です(^O^)

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