京料理人 中川善博作の「鯖寿司」から感じたこと

azukkiさんのブログで紅葉のお写真が載っていました。
故郷の景色を見下ろすお気持ちっていいものだろうなあと想像します。
そして、絵のことがコメント欄に書かれていました。
それを読んでふっと心が中学生時代に飛んで行きました。
実は私は絵を描くのがとても好きだったのです。
小学生の時には絵だけでなく、漫画を描いて回覧していました。
シリーズものは次回作を待たれるので、結構忙しかったです(笑)

中学時代の美術の先生は一風変わったタイプで、私のことをとても可愛がってくれて、自由に好きなように美しさへの楽しみ方を教えてくれました。
絵を描いても彫刻をしても、私の知らない世界への夢を掻き立てるような講評をしてくれました。
そのせいか、高校に進んでもコツコツと1人で油絵を描いていました。
新聞部でしたが。

美しい物を観る。美しいことに感動する。
それは心に躍動感がみなぎって、血液の動きが加速されるような錯覚に陥ります。
事実、心地良いことは血液が浄化されるような気がしますし、ストレスの多い生活は血液を濁らせます。
美しい物を愛で、真の意味での美しい生き方ができたらどんなに気持ちが良いことだろうと思えた朝ですが、なかなか人生は反対のことも多いですね。
それもまた陰陽なりということでしょうか。

美しいものに囲まれた京都にせっかく部屋を借りたのですから、こうしてパソコンに向かっているのではなく、外に出て行かなくてはもったいないですね。
昨日、息子が京都に来たので、今日は一緒に紅葉を楽しんで来ようと思います。
雨が降らなければいいな。

 
 

鯖寿司 マクロビオティック京料理教室 むそう塾

 
 

(鯖寿司 料理:京料理人  中川善博 マクロビオティック京料理教室  むそう塾)

この鯖寿司には、見えないところに下の写真のような細かい仕事がしてあります。
曲線を描いている鯖の表面に包丁で刻みを入れるのは、高度な包丁技術があってのことです。
手首が硬くては出来ない仕事ですね。
中川さんの腕の凄さをこんなところでも確認できます。
それにしても、美しいなあ。

鹿の子の刻み 鯖寿司 マクロビオティック京料理教室 むそう塾

 
 

(鹿の子の刻み)

絵の話からなぜ急に鯖寿司の写真が?と思われたことでしょうが、お料理には美しさが欠かせませんので、絵とつながるところが多々あるのです。
今の私は絵筆を持つ時間がまったくないので、日々中川さんのお料理の美しさで感動しています。

私たちはよく、「美味しい」っていいますが、見た目の美しさだけでなく、「味にも美しさがある」ものが本当の味かと思います。
そこには人間と同じく、あるものだけが自己主張しすぎてもいけないし、あるものだけを控えすぎてもいけないのです。
全体で一つの美しさを創りあげる気持ちが必要ですね。

お料理にも人間社会の縮図を感じならが向き合っている今日このごろです。

 
 
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コメント

  1. こつぶ より:

    美風さんこんにちは。
    私も先日のブログを拝見してこの鹿の子に(そして鱧のあの流線にも)目を奪われた者の1人です。
    本当につい最近までこういうところに目がいくということもなかったので、中川さんの凄さをいっぱい見落としているんだろうなぁと少ししょぼんとしています…(´・ ・`)ゴメンナサイ…

    本文最後の一文にハッとしました。
    全体の美しさ、全体のバランス。
    お料理って、体だけでなく精神とも世界とも繋がっているんですね。

    ここ1年ほどで、展覧会に行ってつい涙すること、鳥肌が立つほど震えたことを経験しました。
    少しずつ私の中の何かが動き始めたと信じて、氣の良い生き方を目指していきます。
    この感覚やむそう塾での学びの各点が、いつか線になって繋がれば良いなと思いました。

    • マクロ美風 より:

      こつぶちゃん、こんばんは。

      >本当につい最近までこういうところに目がいくということもなかったので、中川さんの凄さをいっぱい見落としているんだろうなぁと少ししょぼんとしています…(´・ ・`)ゴメンナサイ…

      きっと見落としていらっしゃると思います。
      実は私も見落としていることが多々あります(汗)
      昨年は気づかなかったことも今年は気づくなんていうことがいくつもありました。
      そういうことだったのか! と思うこともしばしばあります。
      そのくらい中川さんの世界は奥深いです。

      >少しずつ私の中の何かが動き始めたと信じて、氣の良い生き方を目指していきます。

      そうそう! 氣というものを意識して生きましょう。
      それを意識したら、お片付けをしないではいられないはずです。
      これからは生活全体の氣のバランスを意識してみましょう。
      人生が大きく変わりますよ。

  2. ふみよ丸 より:

    美風さん、こんにちは。
    この記事にコメントしたいと思いつつ、時間が取れず、遅くから失礼します。

    この美しい鯖の鹿の子切りが、昆布に隠されているところに、中川さんの深み・・奥行き・・、素晴らしさを感じ、じわ〜〜んとしました。

    そして、
    「思いやりっていうもんは、口に出して説明したら、もう思いやりとちがうようになるしなぁ。
    わかってくれはる人だけが、わかってくれはったら、それでいいねん。
    わかってもらえへんかっても、それでいいねん。そういうもんやねん。」
    と、祖父がいっていた言葉が、なぜかふわっと浮き上がってきました。

    以前は氣づかなかった心遣いに、ある日「はっ!」って氣づいた時。
    その有り難みは、何千倍、何万倍もの有り難さとなって返ってきますね。

    素晴らしいことの裏面は影だから。
    せっかく、むそう塾で学べる機会をもらったのだから、表面的なことだけでなく、影の部分もしっかり受け取りたいと思います。

    美しい記事を、ありがとうございました。

    • マクロ美風 より:

      ふみよ丸ちゃん、おはようございます。

      >「思いやりっていうもんは、口に出して説明したら、もう思いやりとちがうようになるしなぁ。わかってくれはる人だけが、わかってくれはったら、それでいいねん。

      うんうん、そうですね。
      これが京都人の精神かもしれませんね。
      中川さんも同じように話すことがあります。
      そして、それが本来の日本人の考え方なのかもしれません。

      >わかってくれはる人だけが、わかってくれはったら、それでいいねん。
      >わかってもらえへんかっても、それでいいねん。そういうもんやねん。」

      お祖父様のお人柄を表していて、いいなあと思います。
      そして、そんなことを孫のいるお部屋でポツリと語り、それらの言葉を空気のように聞いて育ったふみよ丸ちゃんは、素晴らしい環境だったと思います。
      有難いことですね。
      これからも中川さんからいっぱい吸収してください。

      • ふみよ丸 より:

        美風さん、おはようございます。
        お返事を拝読していたら、日本人としての心、大切にしたいなあって想いが湧いてきて。再び失礼します。

        お正月には、おせちを食べながら、一年の抱負を語り合う。
        ひな祭りには、ちらし寿司でお祝い。
        お祭りには、鯖寿司を親戚に配る。
        お花見や紅葉狩りや土用の丑。
        冬至の南瓜に年末の年越しそば。
        書き出したら、きりがありません。
        子供の時から、年中行事の献立と季節のお料理が、空気のように食卓にありました。

        でも、それがとても豊かで、有難い事だとは、氣づいていませんでした。

        むそう塾で、学ばせていただいてからです。
        日本人が大切にしてきた感性と、年中行事の献立や季節のお料理に込められた意味に氣づいて、自分が育ててもらった環境への感謝の念が湧いてきたのは。

        大自然に感謝し季節の循環の波に乗って食し、ハレのお料理で心のバランスを取る。

        特に上級コースで学ばせていただいてから、日本人が昔から大切にしてきたコレこそが、マクロビォティックなんや!と思うようになりました。
        排除食でキュウキュウすることでは、無いと思います。

        私も、日本人の心を、受け継ぎ、守っていきます。
        これからも、ご指導どうぞよろしくお願い致します。

        長文失礼しました。

        • マクロ美風 より:

          ふみよ丸ちゃん、再びのコメントをありがとうございます。

          コメントからはふみよ丸家の皆様が大切に季節とともに生活をされ、それをしっかりと細胞に落とし込んでくださっているのが伝わって来ます。
          脈々とこうして子孫に伝えられた京都人として、あるいは日本人としての文化や美しさを、ともに享受しながら残して行きたいですね。
          むそう塾では中川さんが頑張って京都発の日本文化を発信していますので、どうぞしっかり受け取ってくださいね。

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