マクロビオティックにおける動物性と鱧の生命力

鱧寿司 京料理人中川善博 むそう塾

 
 

(鱧寿司 料理:京料理人  中川善博)

過去に吉兆さんでいただいた「焼霜造り」が美味しくて、鱧落としは存在が薄くなった記憶がありますが、中川さんが作る鱧料理はどんなお味だろうとずっと想像していました。
それが今年の秘伝コースでは、その鱧料理を教えてくれるとなって、一番喜んだのはこの私かも知れません。
台風の影響が関西にもかなり大きくて、生きた鱧の入手にハラハラしながら当日がやって来ました。
いよいよ授業が始まって、中川さんが作ってくれた鱧料理の美味しさは、私が今までの人生で味わった鱧料理にはない世界を教えてくれました。
絶品とはこういう時に使うものだよね〜と思ったものです。

その美味しさに感動した秘伝コースの人たちが、あちこちで鱧料理の復習を始めました。
しかしどこで購入した鱧も中川さんのように「骨の存在を忘れる仕上がり」ではなかったのです。
それにがっかりしたむそう塾生たちが、それなら自分で骨切りをするしかないということになって、急遽骨切り指導をすることになったのでした。
鱧は日々成長していますから、日毎に骨は硬くなってしまい、素人が練習するには難易度が高くなってしまいます。
それで本当に急に開催日を設けて、都合のつく人たちだけが集まった骨切り講座でしたが、参加者5名なのに中川さんが用意した鱧は30匹でした(゚д゚)!

その日の様子はこちらにありますが、鱧をおろす前に大根の桂むきがあり、それを使って骨切りの練習です。
これは中川さんが編み出した練習方法で、これがとても効果的でした。
桂むきの指示が出ると、すっと桂むきが出来るむそう塾生って本当に素敵だなと思いながらその光景を見ていました。
その原点は幸せコースの最初の授業なんですよね。
基本中の基本がこんなところでも必要になります。

*   *   *

いよいよ骨切りです。
時計はすでに16時を指しています(汗)
それまでひたすら鱧をおろしていたのです。
その間にも鱧の生命力が強いことを確認して、みんなでビックリしたのですが、だからこそその強い生命力をいただいて暑い夏を乗り越えようとして、骨がいっぱいある鱧の料理方法が考え出されたのでしょう。

鰻ほど油こくなくて、白身魚のさっぱりさがありながらも陽性な生命力は、まるで京都の人のようです。
見かけや言葉遣いはしなやかではんなりとしているのですが、中には独自の芯の強さを感じます。
つまり、芯が陽性なんですね。

ところで、鱧料理をあれこれ頑張っている秘伝コースの舞ちゃんが、昨日のお弁当100点のコメントで次のような文章を書いてくれました。
鱧の陽性がジワジワと効いてきた感じですね。

鱧をいただくと、じわっと、気づいたら体力気力が続いている感じで、お肉よりも負担が少ない感じがします。

そうそう。これが同じ動物性でもお肉とお魚の違いです。
生きている時の体温が陰陽判断の一つの材料になりますが、マクロビオティックでは動物性を摂る場合はなるべく人間より遠いものを摂るように教えています。
人間より遠いというのは、学校で習った進化の歴史図を思い浮かべれば解りますね。
具体的にするため、イラストを二つご紹介します。

 
 

【資料:環境省

02_01

 
 

ヒトに至るまでの生物進化

pic_02

 
 

魚類は人間より圧倒的な昔に出現しています。
ということで、マクロビオティックではお肉よりお魚をおすすめするわけです。
最も危険なのは同種を食べることで、いわゆる共食いですね。
ですから狂牛病はマクロビオティックの考え方からすれば、当然の結果だと言えます。

でも今の人は、動物性というとすぐお肉を連想する人が多いですね。
お値段もお魚より安いことが多いし、何よりもお魚のお料理の仕方が分からないというのが最大の理由のような気がします。
でも、むそう塾生は中川さんからお魚をおろすことから始まって、お刺身・煮魚・焼き魚・椀種にいたるまで習えるのですから、とても心強いはずです。

疲れたなと思ったり、陽性の応援がほしいなと思ったときには、上手に動物性の力を借りて陰陽をコントロールしましょう。
舞ちゃんの文章にあるように、体への負担が少なくて気力体力に陽性の力がみなぎってくるのが分かると思います。

 
 

焼き鱧 京料理人中川善博 むそう塾

 
 

(鱧の焼き霜造り 料理:京料理人  中川善博)

なお、マクロビオティックの陰陽はお料理方法についても考えなくてはなりません。
私が鱧の焼き霜造りで感じた美味しさは、鱧落としより陽性な料理方法だったことが大きいです。
ですから、そんなに量を食べるものではありません。
これから秋に向かって、もう一つ美味しい鱧の食べ方があります。
「鱧しゃぶ」
中川さんはこの鱧しゃぶもかなり美味しい方法を開発されているようなので、松茸の出回る季節を今から楽しみにしています。
この鱧しゃぶが鱧料理の中では一番陰陽バランスが取れたお料理方法だと思います。

 
 
カテゴリー: 京都やマクロビオティックのことなど, マクロビオティック京料理教室 むそう塾 パーマリンク

コメント

  1. のーちゃん より:

    美風さん、こんにちは♪

    動画を拝見して思わず声を出してしまいました。今朝の舞さんのtweetで、どんな風に根性あるのかな?と気になっておりましたので本当にビックリしてしまいました。貴重な動画を有難うございます。

    鱧、穴子、鰻、長いものは精がつくと言われていますが、こんなに凄い生命力があるのは鱧に沢山骨があることも何か影響しているのかな?と考えていました。

    動物性摂取した時の身体への負担のお話も、最近の自分の体調と重なってとても納得できました。とても興味深いブログをアップしてくださり有難うございます。

    • マクロ美風 より:

      のーちゃん、こんにちは。

      あんなに切られているのに、それでもなお反応する鱧を見ていると、「根性あるなあ」と思わずにはいられません(笑)
      そんな鱧を食べていれば、「食べたもののようになって」根性がつくのでは?と思えますよね(^^)

      舞ちゃんの「鱧をいただくと、じわっと、気づいたら体力気力が続いている感じで、お肉よりも負担が少ない感じがします。あの根性wにあやかって、力強く、夏をこえてゆきます。」という言葉は、マクロビオティックの陰陽を知っている人なら頷けると思います。

      >鱧、穴子、鰻、長いものは精がつくと言われていますが、こんなに凄い生命力があるのは鱧に沢山骨があることも何か影響しているのかな?と考えていました。

      鱧には免疫力を高める栄養素がズラリと並んでいます。
      穴子や鰻も同じですね。
      でも、胃があまり丈夫でない私は、鰻や穴子より鱧の淡白さがかえって嬉しいので、もしかしたらのーちゃんも同じかも知れません。
      ぜひ骨切りが出来る人になって、ご主人様にも召し上がってもらえるようになってください。
      そのためには、まず桂むきの腕を上げて、刻みを確実に出来るよう、幸せコースの基本を身につけておきましょう。
      秘伝さんの頑張りはやはり凄いです。

  2. より:

    美風さん

    こんばんは。
    動画、見せていただきました。
    すごい力を持っているのですね、
    初めて見たのですが、
    わっと、鳥肌が立ちました!

    鱧料理の数々、
    皆さんの頑張りにドキドキで、
    目が離せません、瞼いです!

    むそう塾でお世話になって、
    お魚料理の美味しさ、大切さを、
    バランスをとりながら頂ける知識を
    教室やブログから学ぶ事ができたことは
    一生の財産です!

    美風さん、
    ありがとうございます。

    • マクロ美風 より:

      好ちゃん、おはようございます。

      凄いでしょう?
      この生命力を見ていて、根性を感じてしまった私です(笑)
      力尽きるまで頑張るというのを久々に見た気がします。
      (鱧は頑張ってなんかいませんけどねw)

      好ちゃんも頑張りましょう!

  3. より:

    美風さん、こんにちは。
    鱧の根性、改めて動画で見てひょえ〜と思いました(笑)
    私はこわくて触れませんでしたが、心臓も動いていたとか・・・。

    鱧、つけ焼きも好きですが、今はさっぱり酢飯と合わせた棒寿司が食べたくなります。
    梅を合わせるのは鉄板ですし、南蛮漬けや先日のお弁当の黒酢餡もさっぱりと美味しいです。
    酸味と相性がいいので、暑いこの季節に食欲をそそられますし、そのうえもスタミナもつく、という・・・
    いただくごとに、なんと夏に適したお魚なんだろうと感心します。

    鱧の授業を通じて、先人の、京都の人の知恵と工夫を知ることができ、
    この日本でどうやって人々が生きて来たのかに想いを馳せることで
    なんというか、この日本で脈々と人が生きて来た、その流れの中に身を置いていることを実感しました。
    美味しかったから、と始めた鱧のお料理ですが、たくさんの学びがあって面白いです。

    先日、落としにしてみたら私の骨切りではまだ皮の主張が激しかったのですが
    夏が終わり、秋になった時に鱧しゃぶを楽しめるよう
    練習を重ねようと思います。

    • マクロ美風 より:

      舞ちゃん、おはようございます。

      >私はこわくて触れませんでしたが、心臓も動いていたとか・・・。

      ああ、私触りましたよ。
      小さい心臓ですがちゃんと動いていました。
      凄いねぇ。

      >美味しかったから、と始めた鱧のお料理ですが、たくさんの学びがあって面白いです。

      いいですね〜。
      理由は美味しかったから。
      単純明快でよろしい!
      それにしても中川さんのお料理は美味しすぎますね(^^)

  4. おはる より:

    美風さん、おはようございます。
    鱧の生命力、吸引力、凄いです。

    こちらでは、鱧は店先にも殆ど並ばず、家庭料理として食したこともなかったです。

    今迄未体験の世界でしたが、鱧を求めて何度も京都へと出向いてしまいました。

    鱧のあの生命力溢れる瞳が、こちらで朝採れとして並んでる魚の瞳とはまた違った輝きで、異次元です。
    何をされても何もないような涼しい顔をしてます。

    海が近く、肉より魚の方が新鮮だという理由で、魚をよく取り入れてましたが、こんな理論があったとは、、、!
    (結果、肉料理はそんなに慣れてないです、。^^;)

    季節、体調、食材、料理法、あらゆるものを総合しての陰陽を感じて、生きるエネルギーとしての食事を大切にします。

    鱧しゃぶの世界、未体験です。
    興味津々です^ ^

    • マクロ美風 より:

      おはるちゃん、おはようございます。

      >何をされても何もないような涼しい顔をしてます。

      (笑) 詩人おはるちゃんの登場ですね。
      そういわれるとそうかもね〜なんて思う呑気な私ですw

      >海が近く、肉より魚の方が新鮮だという理由で、魚をよく取り入れてましたが、こんな理論があったとは、、、!

      あれれ? 幸せコースのときに話したはずだけど、忘れちゃった?
      そうかあ、あれは初期化されちゃったのね(笑)
      マクロビオティックの大事な考え方なので再インプットしてね。

      鱧しゃぶ、一緒にいただく機会を作りたいですね。

へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です