「塾生の声」さっこちゃんの場合

さっこちゃん(24−6)から感想文が届きました。
感想文を書くにあたって、中川さんのブログで愛クラスから上級まで、さらにご自分の参加した講座をすべて見直し、そのうえ私のブログも読み直してくださったそうです。
膨大な時間がかかったことでしょう。
でも、そのお気持ちが嬉しかったです。
ありがとうございます。
6回に分けての原稿でしたが、内容を考えると分けない方が伝わりやすいと判断し、長くなりますが一気に掲載します。
こちらに掲載してから、後日私と中川さんのコメントをつけて「塾生の声」にストックさせていただきます。
(原文のままなので、改行に乱れがありますことをお許し下さい。)

 
 

【1、中川さんのお料理との出会い】

マクロビオティックを知ったのは、結婚して間もなくのことでした。
偶然手に取ったお料理雑誌でマクロビオティック料理が紹介されていて
ダイエットをしたかったこともあり、まずは玄米から食べ始めてみることにしました。
そしていろいろな本や雑誌を読んでもっと知識を深めたいなぁと思い
某マクロビオティック料理学校へ通うことにしました。

その頃の私は、
「マクロビオティック=動物性のものを食べない玄米菜食」
「白砂糖でなければ甘いモノもOK」と思い込み
お肉やお魚、たまごや乳製品を嫌悪するほどに避け
塩分・油分も減らし
動物性のものに食感を似せた「もどき料理」と呼ばれるものや
メイプルシロップ、米飴などを使ったスイーツやパンばかり手作りしていました。

今考えると
それらはとても「心から満足できるほど美味しい」ものではなかったと思います。
もともとお料理することが好きだったため、
ただ単に「お肉や白砂糖を使わずヘルシーに作れた!」という自己満足でしかありませんでした。
普段から私のすることに口を出さない優しい夫は、文句も言わず毎日食べてくれていましたが
きっと物足りなさを感じていたことと思います。

そうしているうちにみるみる私の体重は減り、ダイエット成功!と喜んだのもつかの間、
生理は止まり、冷え性もひどくなって、あっという間に10kg以上痩せてしまいました。
お通じはありましたが、ゆるく、玄米のつぶつぶが多く残ったものでした。
今考えるときちんと消化吸収できていなかったために痩せてしまったのだと思います。
さらには甘いものの取り過ぎで、身体も冷えきっていました。

生理が止まるということは、赤ちゃんを授かる力がないということ。
でも、それでも間違っているとは思っていませんでした。
「身体が排出している途中なんだから、それが終われば生理も復活します」と
某料理学校で言われていたからです。

マクロビオティックを知ってから1年半が過ぎ
主人を無理やり連れ出してマクロビオティック料理を出すカフェに行くのが趣味になっていた私は
2009年7月、旅行で京都を訪れた際に
中川さんのお店にお客さんとして伺って、初めて中川さんのお料理(福ZEN)をいただきました。

まず驚いたのは、玄米ごはんの柔らかさでした。
こんなに食べやすくて甘くて柔らかい玄米ははじめてで
どこのお店でも食べたことがなく、もちろん自分でも炊いたことのないおいしさでした。
そして1枚のお皿に美しく収まった、色とりどりのおかずたちのおいしかったこと!
どれもまるくて優しい味がして、食べながらすぅっと身体に馴染んでゆくのがわかりました。

静かなお店の中で主人とふたり、
目配せをしながら息をつく間もなく食べ進めていったのを覚えています。
マクロビオティックのカフェに行っても、いつも特に何も言わない主人でしたが
この日ばかりはお店を出た途端に興奮した様子で
「ひじきがおいしかった、揚げ浸しもおいしかった」と熱心に語り、
わたしも一緒になって小走りになりながら夢中で感想を述べ合いました。

何かを食べて、こんなにも身体の奥底からエネルギーが満ち溢れるのを感じたのは
マクロビオティックに出会ってから初めてのことでした。
これは、なにかすごいことかもしれない。と、
旅行から帰宅後すぐに中川さんのブログを読みあさり
美風さんのブログも読ませていただき、お料理教室をされていることを知りました。
愛クラスにキャンセルが出たとのお知らせを拝見して迷うこと無く受講を決意し
そうして半月後には、今度は受講生として再度お店を訪れることになりました。

 

【2、愛クラスと玄米ごはん】

2009年8月、はじめて受講したむそう塾の講座が愛クラスでした。
中川さんのブログで玄米投稿を拝見しながら
どんな炊き方なんだろうと想像はしていたものの
中川式玄米と呼ばれるその炊飯方法は、陰陽を踏まえた、消化吸収が抜群に良くなる炊き方で
わたしの想像をはるかに超えたものでした。
けれど当時まだ某料理学校へ片足を突っ込んだままだった私はとんちんかんな質問をして
「他でのやり方を問うならここへ来る必要はないでしょう。」と、
中川さんにぴしゃりと一喝されてしまいました。
むそう塾で学ぶ、という姿勢がなっておらず、心構えが全くできていなかった私。
のんびり穏やかでなんとなーく進行していた某料理学校との差にはじめはびっくりしましたが
何よりも口にした玄米ごはんが本当においしくて、
すぐに身体がポカポカあたたまって元気になるのがわかりました。
それは初めての体験でした。

美風さんとお話をさせていただく時間には
「マクロビオティック食をしているために友人と外食できない、
誘われても断るようになり、ついには誘われもしなくなって寂しいです」
と相談させて頂きました。
すると美風さんは間髪入れず
「そんなの食べに行ったらいいじゃないの!ケーキでもなんでも食べればいいのよ!
友達は一生の財産なんだから!」と、
ここでもまたびしっと怒られてしまいました。
そして「食べた翌日からまたこういう食事で取り戻せばいいんだから、大丈夫よ」と優しくおっしゃって
そんなことを言ってくださるお料理教室ははじめてだったので
今まで「お肉は絶対ダメ、市販の甘いものも絶対ダメ!」と思い込んでいた私はハッとしました。

その日一日むそう塾で過ごした帰り道、玄米の炊き方を繰り返し頭のなかでイメージしながら
なぜ初対面のわたしにここまで熱く本気で指導してくださるんだろう、と
むそう塾のおふたりのことをぼんやりと考えていました。
「何かに対して、真剣に取り組んだことがあっただろうか」と、最近の自分を振り返り
とにかくやってみよう、あのおいしい玄米を炊けるようになりたい!と
翌日から玄米を炊き、毎日ドキドキしながら中川さんにメールをお送りしました。

初日から玄米ごはんにお焦げができず、それが何日も続きました。
自分でも「食べたい」と思っているのに、できない。
今思うとそれほど陰性だったということなのでしょう。
けれど中川さんは、わたしがきちんと炊けるようになるまで
毎日毎日アドバイスを下さいました。
私が自分自身で考えられるようにと、問いかけてもくださいました。
玄米を炊いていると、自分の嫌な部分、反省すべき部分がたくさん見えてきて
わたしは「玄米と向き合って」いるつもりが、いつの間にか「自分自身と向き合って」いました。
毎日炊いて、投稿する。
夢中で繰り返しているうちにうっすらとお焦げもできるようになり、
愛クラスから19日後、念願のパスポートをいただくことになりました。

あの日の感動は忘れられません。
朝炊いてお弁当にして仕事場へ持っていった玄米は冷めてもおいしく、
帰宅して夜ご飯の時も、変わらずとてもおいしかったのです。
中川さんは、
「あなたが素晴らしかったのは、
ヘタクソなのに毎日どんどん食らいついて来てくださったことですね」
と言ってくださいました。
私、ヘタクソだったんだ・・と、陰性な私はここでもハッとしてしまったのですが
とにかくおいしく炊けるようになりたくて、おいしい玄米ごはんが食べたくて、
その一心だったと思います。
素晴らしいのはヘタクソな私に毎日ご指導くださった中川さんのほうで、
導いてくださったことに心から感謝しています。

愛クラスを経て、中川式玄米を食べるようになって
いちばん変わったのは、心のあり方・精神面だと思いました。
喜怒哀楽の差が激しかったのですが、穏やかに過ごすことが心地よくなって
漠然とした不安が減り、わけもわからず涙するということがなくなりました。
物事を前向きに捉えることが少しづつできるようになり、これは私にとって大きな進歩でした。
身体の方にも変化があり、
まずはお通じが良くなって玄米のつぶつぶがあらわれなくなりました。
幼い頃からごはんよりパンが好きで、
大人になってからもチョコレートが手放せなかった私でしたが
ふかふかの玄米をたっぷり頂くようになってからはパンや甘い物が自然と欲しくなくなり、
体重もすこしづつ増加して体温も上がりました。
このあと1年ほどかかりましたが生理も復活して
なんとその後すぐに赤ちゃんを授かることになりました。

むそう塾に出会わなかったら
あのとき愛クラスで、おふたりに真剣に怒っていただかなかったら
今の私はありません。
私たち夫婦の宝物である我が子も、この世に存在していなかったと思います。
これは大袈裟ではなく、事実で
言葉では言い尽くせないほど感謝しています。

玄米を炊いている時の、癒しと緊張が同居するあのなんとも言えない空気感。
何かに迷ったり悩んだりしたときは、もう一度玄米と向き合って
まっさらな気持ちで炊飯をします。
そうすると不思議と自分が見えてきて、ふうわり甘い、おいしいごはんが私を救ってくれます。
主食って大切なんだ。
むそう塾に出会うまで、ずっとそのことを、一番大切なことを置き去りにしていました。
信じられるものがある、それだけで心強く前を向いていられます。
私は家族と自分自身のために、
これからもむそう塾での学びを大切にして
ずっとおいしい玄米ごはんを炊いてゆきたいと思います。

 

【3.お弁当革命】

中川さんのブログには、「今日の弁当」というカテゴリーがあります。
中川さんが愛娘さんのために作られる、それはそれはおいしそうなお弁当が掲載されていて
その色とりどりのおかずのひとつひとつ、そして盛りつけの美しさに魅了されて
わたしは食い入るように何度もブログを読んでは、自己流で真似て作っていました。
私も主人も仕事場へお弁当を持参していたので
むそう塾で「お弁当講座」が開催されると知り、思い切って受講させていただくことにしました。
そしてこの講座が
以後の私の毎日の暮らしを大きく変え、そして支えてくれることとなりました。

講座では中川さんがたくさんのおかずを、一睡もせず徹夜で作って用意してくださり
私はずっとブログで拝見してきた憧れのおかずたちを目の前に大感激しました。
自分の体調などを考慮して、美風さんにアドバイスをいただきながら数品を選び、
持参したお弁当箱に盛りつけてゆきながら
ただ美しく盛りつけるだけではなく、
「作ってから数時間後に食べるお弁当」が、どうあるべきなのかを中川さんは教えて下さいました。
蓋を開けた瞬間、うれしくなるようなお弁当。
それを食べて、午後からも元気にお仕事できるようなお弁当。
腐らせないための秘訣、
汁漏れしないための秘訣、
隣のおかずと味が混ざり合わないための秘訣。
平面ではなく立体的な盛り付けと、お箸での取りやすさ、食べやすさ。
季節や旬や、その時の体調、男女それぞれにあわせたおかずの選び方と調理法。
まだまだもっと、たくさんのことを中川さんは伝えてくださいました。

「残り物は入れない。残り物の人生になってしまうから。」
食べてもらう相手を想った中川さんのその言葉も、私の心に深く響きました。

そして私が盛りつけたお弁当に中川さんがほんの少し手を加えると
見違えるようにイキイキと、輝いて見えるのでした。

今までなんとなく作ってきたお弁当でしたが
私は翌日から新たな気持ちで心をこめて作るようになりました。
幸せコースに通う前でしたので、おかず作り自体は試行錯誤でしたが
それでも毎朝のお弁当作りや盛り付けがたのしくて
以前から低血圧で苦手だった早起きも自然とできるようになりました。
職場では友人たちに「今日のおかずは何?すごーい!」と覗き込まれるようになり、
辛いことだらけだった仕事も、
お弁当を食べるとむそう塾との繋がりを感じられてがんばることができました。
主人からは「今日のお弁当の◯◯、おいしかったよ」とお昼休みにメールをもらえるようになり
そうするとまた翌日もがんばって作ろう!と思い早寝早起きが習慣になりました。
昼夜逆転することも少なくなかった私の、まさにお弁当革命でした。

毎朝のお弁当作りは、子どもを出産し退職した今も続いています。
のちに受講した「モバイルお味噌汁」も加わり
主人は仕事が忙しくてお昼休みが十分に取れない時期でも、
玄米おむすびとモバイルお味噌汁だけは持って行き、職場で食べてくれています。
子どもも大きくなってきたので
彼のお気に入りの絵のついたお弁当箱につめて近くの公園でピクニックをしたり
雨の日でもいつもと違う部屋にシートを敷いて食べてみたりと
家族全員でお昼のあたたかなお弁当ライフを満喫しています。

お弁当講座を受講していなかったら
冷凍食品を使ったり、前日の残り物で済ませたり
ワンパターンになったりときっと今でも迷走していたことと思います。
心も身体も満たしてくれるお弁当は、私を変え、家族を支えてくれています。
一生ものを教えていただいたと心から感謝しています。

 

【4.幸せコースと妊娠・出産】

愛クラスとお弁当講座を受講して、
それまで通っていた某マクロビオティック料理学校からはすっかり足が遠のいていました。
日に日に幸せコースへ通ってみたいという思いが募ってゆき
2010年5月、ご縁をいただきついに1年間の幸せコースがはじまりました。

糠漬け、包丁研ぎ、切ること。
もともとお料理が好きだったとはいえ知らなかったことだらけで
できないことだらけで
みんなについて行くのがやっとでしたが、それでも毎回たくさんの学びがあって
中川さんが教えてくださるおいしいお料理に興奮し、作り方に歓声を上げ
美風さんの座学では笑顔で生きてゆくための哲学や自分の体と心の軸となる大切なことを教わり
時に涙しながら、クラスメイトと共に悩みや不安、うれしかった出来事も共有し合いました。
丸一日の講座は充実して光に満ち、いつもあっという間に過ぎてゆきました。

6月には妊娠したことがわかり、
だんだんと大きくなるお腹を抱えながら毎月京都へ通いました。
私の幸せコースは、いつももうひとつの命と一緒でした。

ごまを炒った時の香り、
はふはふ汗をかいて食べたカレーうどん、
みんなでずらっと並んでことこと煮物を作った、静かな時間。
なぜか半分の細さになった出汁巻き玉子(もう半分は飛ばしてしまった・・)
ドキドキしながらはじめてさばいたお魚、できなかった桂剥き。
洗い物をしてくださっている美風さんの背中と
そして、中川さんの大きな手。

ひとりきりで台所に立つとき
今でもありありと、あの時の光景を思い返します。
みんながお腹を気遣ってくれて
あたたかな手で撫でてくれて
わたしはいつでも優しさに囲まれて、守られて、夢中でお料理を覚えました。
家に持ち帰り主人が「おいしい」と言ってくれたとき
通ってよかったなと心から思いました。

その年のお正月には実家で筑前煮を作りました。
突然母から「作る?」と言われたものの、
むそう塾で習ったレシピを持参していなかったためはじめは躊躇しましたが
材料は揃っているし、「大切なことは頭のなかにあるから大丈夫」と思い
美風さんがツイッターで「がんばって!」と後押ししてくれたこともあり、
思い切って作らせてもらうことにしました。
今までの私だったら、レシピを見ながらでないと作れなかったと思います。
けれどむそう塾ではひとりひとつずつお鍋を任せていただけるので
大切な工程も、きちんと中川さんのデモを見てから自分で実践出来ます。
そのおかげでレシピを見なくても手が覚えてくれていて、
無事に作り終え両親はもちろん祖父母にも喜んで食べてもらうことができました。

「実習中にはメモを取らない。大切なことは五感で覚える。」
むそう塾の教えが、私に自信を持たせてくれました。
触れたり、音を聞いたり、香りを確かめたりして、
いつも同じ時間配分ではなく、その時の素材によって調理時間を変えるのだということを
そしてその思いやりを学びました。

2月には出産のため授業を欠席しましたが
どうしてもその月の盛り付けの回は受講したくて
里帰りしていた実家で台所を借りておかずを作り、自分なりに盛り付けた写真を撮影して
ご迷惑かと思いながらも中川さんにメールでお送りしました。
中川さんは迷惑がるどころかブログに掲載してくださり、丁寧なアドバイスをくださいました。
みんなと一緒に、私も授業に参加させていただくことができて本当にうれしかったです。
たくさん作ったおかずは実家の家族がみんなで食べてくれて
「おいしい、おいしい」と、ここでもまた笑顔を見ることができました。

一生懸命作ると、誰かが笑ってくれる。
それがとてもうれしかったです。

たくさんの人に祝福されて、この世に生を受けた我が子。
無事に出産を終えられたことも、
我が子が元気で産まれてきてくれたことも
母乳の出がずっと順調だったことも
むそう塾で中川式玄米に出会ってからの数年で食生活が変わり、
体調が整ってきたからこそだと思っています。
それまでのパンや甘いもの中心の暮らしではきっとこうはいかなかったでしょう。

中川さんと美風さんをはじめ
クラスメイトや塾生のみなさま、そして家族とお腹の赤ちゃんに支えられ
たくさんのことを教えて頂きました。
今までなかなか人を信じることができずにいた私の心が、ほどけてゆくようでした。
この1年間が、私の人生の転機だったように感じます。

 

【5.桂剥き投稿と子育て】

幸せコースの授業の中に、「桂剥き投稿」があります。
わたしは投稿が始まって間もなくつわりがひどくなり、
台所に立っているのも辛くなって
練習することを途中で諦めてしまいました。
ごはんを炊くのもやっとでした。

無事に出産し幸せコースを修了したあとも、
ずっとそのことだけが頭に引っかかったままでいました。
もしかしたら練習できたかもしれない。
私のやる気と覚悟が足りなかっただけなのかもしれない、と後悔しました。
けれどそれは子どもを授かったことを後悔するのと同じだと気付きました。
「いつか子どもを責めてしまうかもしれない」と
そう思うことは、とても辛いことでした。

だから「包丁研ぎと切り方講座」が開催されると知ったとき、
今度こそできるようになりたい!と強く思いました。
2011年3月、再び桂剥き投稿の機会を頂きます。
子どもは1歳を迎えていました。

昼間はお昼寝の隙に、夜は眠ってから。
子どもが起きているときは桂剥きをしませんでした。
まだまだおんぶに抱っこで一人遊びは難しかったですし
包丁を持った私の側に長い間おいておくことも危険でした。
何より、他のことに集中している私を見て「さみしい」と感じるかもしれないと思ったからです。
夜もまだ授乳中でしたので、いつ目を覚ますかと内心ヒヤヒヤしながら練習していました。
不思議と剥き終わってから目をさますことが多く
ありがとう、ありがとうと、いつも言っていたような気がします。
美風さんがいつも言ってくださっていた、
「手をかけないで氣をかける。時間をかけないで氣をかけるのよ」という言葉の意味を
実感した瞬間でもありました。
旅行に出掛けた両親に代わって愛犬の世話をするため、
子供と二人で1週間実家から投稿していた時期もありました。
場所がどこであっても、集中すれば練習することはできるんだなと思え、
今度こそ絶対に仕事や子育てを言い訳にしないと誓って挑みました。

「上げる」「送る」「面圧」、
頭で考えるのではなく、手のひらや指先、身体全部で感じて動かす。
その繊細な感覚・イメージを、中川さんはブログを通してわかりやすく言葉にしてくださいました。
たくさんの投稿を、睡眠を削っていつでもまっすぐ真剣に見てくださいました。
私は中川さんにご指導いただけるのがうれしくて、たのしくて
けれど途中からは自分の内面の悪いところばかりが見えてきて息苦しいほどでした。
桂剥きも玄米炊飯と同じく、自分を映し出す鏡でした。
私はどうしても急ぐように慌てるようにザザっと雑に剥いてしまい
「もっとねばっこく、色っぽく、ゆっくり」と、何度もご指導いただきました。
それは私の毎日の暮らしとリンクしているのだと気付き愕然としましたが
中川さんは
「しなやかさと粘りとあやうさと強さ。できるといいですね。見守っています」と
あたたかく言ってくださいました。
薄さや細さばかりに気を取られる私に、もっと大切なことがあることや
自分のライバルは自分自身の中にいること
今この時を精一杯生きるということが、どういうことなのかも学びました。
そのすべてが、今の私を作っています。

嵐のような1ヶ月でした。
先輩方のお手本動画を繰り返し見ては
「私もこんなふうに剥けるようになるんだ!」と自分を奮い立たせ
一緒に投稿しているみんなの頑張りを見て勇気づけられていました。
主人は「無理しないでね」と言ってくれましたが
夕食のお肉やお魚に添えて出す大根サラダが、日に日に細くなっていくのがおもしろかったようで
その穏やかさにも救われました。
「後悔したくない、子どもを責めることはしたくない」と
ひとりよがりな想いを抱いていた私でしたが
今回もまた、中川さんや美風さんをはじめ、気づけばたくさんの方に支えられていました。

最後に投稿した桂剥きは今でも覚えています。
天使の面圧には程遠い状態でしたが
1ヶ月の桂剥き投稿を完走することができたのは、みなさまのおかげだと心から感謝しています。

最後の投稿のあと、中川さんは
「これからは期限に追われないで自分に語りかけるように練習しなさい」と言ってくださいました。
桂剥きを通して自分と対話すること。
ふがいない自分でも、情けない自分でも頑張れば前に進めることを知り、
「何にでも挑戦してみよう」と勇気が持てるようになりました。

スーパーからの帰り道、
子どもを抱っこしながら両手にたくさんの大根を下げて歩いたことは
今となっては良い思い出です。
これからも練習を怠らず、自分との対話を続けてゆきたいと思います。

 

【6.上級幸せコースと、好きな事をして暮らすということ】

幸せコースを修了し、仕事の育児休暇を取得して子育てに専念していた私は
いつかは上級幸せコースに行きたいなという想いを募らせていました。
そんな私に「思い切って通ってみませんか」と声をかけてくださったのは美風さんでした。
「いいなぁ、いいなぁ」と羨ましがってばかりいては何も始まらない。
私のモヤモヤした気持ちを、美風さんはすべてお見通しでした。
「育休中を充実した日々にしましょう。そうすることが次の良い氣を運んできますよ。
”今を生きる”とはそういうことです」
そのお言葉に涙が溢れました。
上級幸せコースが始まる頃には、息子は1歳3ヶ月。
授乳の心配はありましたが、夫の後押しと「がんばりたい」という気持ちが強くあり
受講させていただくことになりました。

受講が決まってから、実際に始まるまでの間に
手作りのかばんや小物のインターネット販売も始めました。
自分のお店を持つ、というのは私の夢で
いつかは叶えたいと思っていましたが、あまりにも漠然としすぎていて
具体的にはどうしたらいいのか、
今の会社勤めを辞めて生活してゆけるのか
夫は転職したばかりでしたし、子どももこれから大きくなるし・・と、
たくさんの不安がありました。
けれど、職場の上司や同僚との間に信頼関係はなく、
愚痴や嫌味ばかりが飛び交う中で仕事にやりがいを感じられず、意味を見出せず
ただただ心を閉ざしてこなすだけの日々に疲れ果て、ストレスを抱えていた私は
「育児休暇を終えて今の職場に戻る」とは、どうしても考えられませんでした。
この時も美風さんは親身になって相談に乗ってくださり、開業を後押ししてくださいました。

美風さんは以前からずっと、
「自分にチャンスが巡ってきた時に、きちんと掴み取れるように準備しておくことが大切」
と言ってくださっていました。
そのためには、即時に判断できる力を身につけておくこと
すなわち陽性さを備えておくこと、
それは食べ物だけではなく環境や精神面も含めてですよ、と
陰性な私に常日頃からご指導してくださっていました。

もしかしたら今が、そのチャンスなのかもしれない。
今を逃したら、一生夢を見るだけで終わるかもしれない。
そう思い、ただ前だけを向いてお店を始めました。
中川さんからは自営業者として、プロとしての心構えを学びました。
それは大切なものを守るための、まっすぐな覚悟でした。
今は月に1度、上級幸せコースを受講させていただきながら
子育てと、だいすきなお裁縫をお仕事にして生活しています。
上級幸せコースで教えて頂くお料理は、
どれも幸せコースでの基本を踏まえたさらに上級の陰陽料理で
お誕生日や季節のイベントにも出せるような華やかなものもあれば、
毎日でも食べたいシンプルなおかずもあり
お弁当を含め、我家の食卓にむそう塾で習ったメニューが登場しない日はありません。

上級幸せコースに通い始めて変わったことは
動物性のものを怖がらなくなったことです。
以前の私はお肉やお魚はもちろん避け、お味噌汁の出汁まで植物性にこだわってしまい
その結果陰性になりすぎて体調を崩していました。
当時は何も言わなかった主人も、今は鰹と昆布出汁のお味噌汁やお吸い物を
「おいしい、おいしい」と言って、自分からおかわりして飲んでいます。
習ったチャーハンやラーメンをうれしそうに食べる姿を見て
私は今まで間違ったマクロビオティックをしてきたんだなと実感しました。
お肉やお魚を食べる時には良質なものを選び、消化を助けるものを添えて出す。
男女の差や、年齢の差、家族に合わせた陰陽のバランスを考えればいいのだということを
中川さんと美風さんが教えて下さいました。
あのまま一生お肉やお魚を嫌悪して、それを食べる人たちまで嫌悪して、
そうして生きてゆくことにならなくて本当によかったと思っています。
食べ物には罪はありません。
彩りや、たのしさのある食卓は心を豊かにしてくれます。
以前作っていたような、「もどき料理」やバランスの取れていない組み合わせでは
この気持ちは味わえなかっただろうと思います。

ずっとひとりよがりでわがままに生きて来ましたが
「こんな時はどうして欲しいのかな、どうしてもらったらうれしいのかな」とか
「何もしないでそっとしておくのがいいのかな」と
お料理や子育てを通して、相手の気持ちをより考えるようになりました。
理想や憧ればかり追いかけるのではなく、目の前にある小さな幸せに目を向けて
それを大切にしたいと思えるようにもなりました。
はじめて愛クラスを訪れた日からずっと
むそう塾を信じて今日まできました。
心をこめて玄米を炊き、
それをたっぷり食べていたら赤ちゃんができ
教えていただいたお料理を作っていたら生活にリズムがうまれました。
嫌で仕方なかった職場を退職でき、
自分の好きなことをお仕事にさせていただくことができました。
子どもが産まれたことで、疎遠になっていた実家との交流も深まり
両親がどんな想いで私たち子どもを育ててきてくれたのか、
そのありがたさを知ることができました。
上級幸せコースに通い始めると
長い間契約社員だった主人が社員として採用していただけることになり
将来の暮らしにも安定が見えて来ました。

余計なものがどんどんなくなり
シンプルになっているのに、毎日がとても充実しています。
日々はあっという間に過ぎて行きますが
お料理にお裁縫に子育て、こんなにも好きな事ばかりしながら、
笑顔で暮らせるようになるなんて
家族っていいなぁと思えるようになるなんて、
喜怒哀楽が激しく、夜になると泣いていた日々が嘘のようで
ただただ感謝の気持ちしかありません。

まだまだ陰性で、迷ったり悩んだりすることもありますが
中川さんと美風さんが、いつも見守って下さるのを感じています。
そのおかげで、私は胸を張って生きてゆくことができます。
むそう塾は人間塾。
そう呼ばれるのは、お料理だけにとどまらず、仕事や子育て、生き方においてまで
おふたりがいつでも真剣に塾生やその家族のために最善を尽くしてくださるからだと思います。
そこに集まるみなさまもとても温かく、一生懸命に生きている方ばかりで
私はあのお教室の雰囲気が本当にだいすきです。

これからもずっとおいしい玄米ごはんを炊いて、家族みんな笑顔で暮らしてゆけたらと思います。
私にとってむそう塾は、第二の故郷です。
こんな私ですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

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カテゴリー: 中川式糠漬け, むそう塾の雰囲気(塾生の体験談を含む) パーマリンク

コメント

  1. 中川善博 より:

    ありがとう ありがとう

  2. さっこ より:

    中川さん、美風さん

    ありがとうございます。
    これからもよろしくお願い致します。

    だいすきです♪

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