桜沢如一著「うなぎの無双原理」より<かば焼き>

きょうは土用の丑の日です。
うなぎの蒲焼きを召し上がった人も多いことでしょう。
私がマクロビオティックを始めた頃は、鰻なんてとんでもない!
ということで、世の中が土用の丑の日であろうがなかろうが、鰻とはサヨナラしておりました。
それから何年も経ってから、鰻の陰陽加減を知るために、天然うなぎを食べることになりました。
恩師に教わったとおり、甘味のある蒲焼きは避けて白焼きを食べました。
うなぎを食べる時には天然物で白焼きというのが、教えだったからです。
ところで、桜沢如一先生の本に「うなぎの無双原理」があります。
古い本ですが、何故か好きな本です。
桜沢先生が錬金術として鰻を研究されていたことがあるそうで、軽いタッチで書かれているのですが、よ?く鰻のことを知り抜いていて面白い本です。
その中から今日にちなんで「かば焼き」をご紹介しましょう。
                *    *    *    *
<かば焼き> (うなぎの無双原理37Pより)
かば焼きは「香疾(はや)き」からきたという説が一番古いそうです。
しかし、私はかば色に焼いたという意味にとります。
なまずやどじょうのかば焼きもありますから。
かば焼きには最も上等の炭—-堅炭、姥女(うばめ)炭、備長(びんちょう)炭のごとき—-が必要です。
これは最も陽性の木で作った炭。
石炭やガス、電気ではまずい。
陽性がすぎます。
これを烈火とし、その上にのせ「手返し百辺」というほど返しつつ、ぱたぱた高い音をうちわでたてて焼きます。
これは最も陽性の火を最も陰性にする方法です。
「裂き三年、串八年、焼きは一生・・・・・・」という言葉があるほど焼きはむずかしいのです。
昔はうなぎの丸焼きに塩をつけて食べたそうです。
そのうち、たまりを用いるようになり、醤油というものができ、専門の店—-醤油屋までできました。
それからさらに、たれを作るようになったのです。
たれは醤油とみりんを等分に入れたのが同割り。
今では四分六分になっています。
東京でも深川へんの労働者の多いところでは、今でも六分四分のたれを用いる店があります。
これも昔は二割づめといって八割くらいに煮つめたのだそうですが、今では二分づめくらいが関の山です。
みりんのかわりに砂糖を用いているのもたくさんあるからたまりません。
かば焼きは頭と尾がうまいので、これを捨ててつけないのはウソです、ことに尾のおいしいことは有名です。
こんなことを聞くと、むしゃむしゃ食った人は恥ずかしくなります。
東京と大阪では料理方法も出し方も全く違います。
関西のウナギのまむし(実は飯(まま)蒸しで、蝮(まむし)にあらず)や茶漬けは温かいウナギを食べる方法としては天下一品です。
東京では白焼きしてから、むしにかけて脂肪の陰をみな取り去り、関西ではむしにかけません。
これは見かけからいえば東京流が美しく、カロリーからいえば大阪風がよろしく、どちらにも勝負ありませんが、無双原理からみると男性的(陽性)な江戸っ子は淡白を好みつつ、陰性の脂肪を去って、陰過多になることをさけ、女性的(陰性)な大阪人は濃厚な味を好みつつ、それを陰性の脂肪で取るというまことに賢明なやり方です。

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コメント

  1. ペロリ より:

    美風さんこんばんは。

    土用の丑の日では無かったのですが
    注文を聞いてから、さばいて蒲焼にしてくれる
    お店で鰻を食べました。
    肝吸いもいただきました。
    (炭ではなくガスで焼いていました。)

    陽性の私には鰻は強すぎるのではないかと思ったのですが鰻を食べた日から体調も良くなり朝の目覚めも良くなりました。

    食べすぎは毒ですが、たまに食べるには良いのかもと思いました。

  2. マクロ美風 より:

    ペロリさん、こんにちは。
    昨日はお久しぶりにお会いできて嬉しかったです。

    ウナギは結構即効性があるんですよね。
    大森英櫻先生がウナギの即効性にまつわる面白いエピソードをよく話してくれました。
    思い出しても、そのときの大森先生の表情が目に浮かんで、思わず一人笑いをしてしまいます。

    マクロビオティックといえども、ウナギはお盆とお正月くらいは良しとされていますから、たまにはよろしいんじゃないでしょうか。

  3. 夏目 より:

    美風さん こんにちは。
    遅ればせながら、こちらの記事にコメントを(笑)
    決して、読んでいて眠くなって今起きた訳ではありません(大笑)

    この中にどれだけ沢山の陰陽が入っているのだろうと思うと、読む前から構えてしまっていました。まだまだ陰陽を嫌煙してしまっている意識があるのですね(涙)でも克服したいので、楽しみながら陰陽を身につけたいと願っております。

    最初に気になったのが、熱源。
    そして、炭。炭になる木の種類についてでした。
    どんな木でも炭にはなりますが、炭火となったときの火力や
    長持ちするかどうか、灰の出来具合など。
    木は広葉樹と針葉樹、高木低木等。
    備長炭と言われるのは、特定の木からできた炭である事など。
    当然、炭同士での陰陽もあって面白いですね。

    薪にするときも、木の種類のよって、燃え方や
    暖まり方、火の持つ時間、灰の出方などが違いますよね。

    >最も陽性の火を最も陰性にする方法
    というところがとっても面白いというか、なるほど!と
    思いました。

    これからも実生活に陰陽を置き換えて、身に付くよう
    陰陽遊びをしてみたいと思います。

    貴重な記事なのに、躊躇してコメントが遅くなってしまい
    すみませんでした。

  4. マクロ美風 より:

    お!
    頑張ってコメントして下さいましたね。
    そのお気持ちが嬉しいです。
    陰陽は最初はとっつきにくく感じるでしょうが、なんてことありません。
    私達は毎日陰陽の中で暮らしているのです。
    だから後は気づくだけです。
    私達の行為のどれが陰でどれが陽なのかを知ることは、まるで占いをしているようで楽しいものです。
    8月から座学で陰陽を取り上げますから、楽しみながら気づいてください。
    一緒に学び合いましょう。

  5. おはる より:

    美風さん、こんばんは。
    この記事の陰陽の奥深さがまだまだわかってませんが。。
    熱源は炭火が一番おいしそうです!
    小さいころから囲炉裏の炭火でおもちや鮎など、
    いろいろ焼いたり、鍋をしてきましたが、
    ほっこり、優しいあたたかさですね。
    上等の炭なら、なおさらです!
    石炭風の炭は、ちょっと苦しそうに見えたり、匂いがあやしかったり。。

    鰻は陽性だから、火を陰性よりにして優しく焼き上げるのか?
    とか、
    炭は、黒く炭化してるけども、陽が極まって陰になるのか?
    とか、?が飛び交ってますが。。

    ふっかりと、おいしい鰻が食べたいです。。
    上等なお店を探しますね。

  6. マクロ美風 より:

    おはるさん、こんにちは。

    この記事をどのように読んでくださっても良いのです。
    楽しく読むも自由、難しく読むも自由、勉強材料とするも自由。
    一つ言えることは、どのように読んでも鰻はウナギということです。
    それが面白いと思いません?

    ウナギを召し上がるなら、ぜひ天然物を!

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