マクロビオティックの指導現場からシリーズ」カテゴリーアーカイブ

陽性だけが健康に良いのではない マクロビオティックの陰陽

昨日、お味噌汁と参鶏湯風スープの陰陽について、塾生さんとX(旧Twitter)で話をしていました。
元の記事はこちら
そのやり取りを読んだ他の塾生さんから、質問のiMessageが届きました。
どうも多くの人が「陽性が健康に良い」と思っておられるようです。

その一つに、体調が悪い時に参鶏湯風スープをいただいて元気になったから、やっぱり陽性がよいのだと理解されているようです。
しかし、体調が悪い時に効果があったのは、果たして陽性だけの力でしょうか?

一般的に参鶏湯スープには、生姜・ネギ・にんにく・胡椒などの陰性食材も使われています。
鶏肉だけのスープではないのです。
その陰性の力が陽性な鶏肉の毒消しをし、体内に入って血管を開き、血の巡りをよくするわけです。
その結果体が温まり、汗も出て、症状が改善されることが多いのです。

これがお味噌汁の場合ならどうでしょうか?
お味噌汁は出汁に何を使うかで陰陽が変わりますし、お味噌をどんな種類にするかでも陰陽が変わります。
さらに、お味噌汁の具を何にするかでも陰陽が変わりますが、多くのお味噌汁の場合は、参鶏湯スープのように生姜・にんにく・胡椒を同時に使うことはあまりありません。
ネギはよく使いますけどね。

 
 

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参鶏湯スープは、陰性な人のためだけのスープではありません。
陽性の人でも美味しく飲めます。
それは、色々な陰性食材のおかげなのです。

お味噌汁もネギやお豆腐が入っていると飲めるけど、根菜類が入っていると飲みたくないという人がいます。
お味噌に根菜類だと陽性の食材ばかりなので、重く感じるんですよね。
ましてや三年味噌のように長い間寝かせたお味噌を使うと、ピッと拒否する人がいます。

まとめとして、体によいのは陽性だけなく、陰性もよいのだと認識を改めてほしいのです。
ややもすると、陽性信仰に陥ってしまうのがマクロビオティックの問題点なのです。
陽性も陰性も「その時」の体に必要なものが一番力を発揮するだけのことです。

人の体というのは面白いもので、ほんのちょっとした成分に反応して美味しく感じたり、まずく感じたりします。
それが味覚であったり、体調であったりするので、「元気になるためには陽性を!」と思い込まないようにしましょう。
陰性を摂ってもらった方が元気になる人もいるのですから。

なお、お味噌汁の陰陽を詳しく知りたい方は、「陰陽別お出汁の取り方とお味噌汁大全講座」を受講してください。
ご希望があれば開催させていただきます。

 
 

(京都市左京区の梅 満開になりました)

 
 
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美味しいからおせちを作りたい! むそう塾生の場合

おせちはそんなに美味しくないから食べなくてもいいとか、おせちを作れないから買ったけど、不評だったという話はよく聞きます。
そして、そもそもおせちはもう食べなくてもいい、なんていう話も見聞きします。

でも、むそう塾の「幸せコース」から包丁の砥ぎ方や切り方、煮物・揚げ物・蒸し物・酢の物・和え物など、お料理の基本を習った塾生さんたちは、おせちを作ってみたくなります。
そして、トライしてみると、案外美味しくてビックリされます。

おせちとは、そもそも色々な料理技術の集大成なので、まったくお料理をしない人には厳しいですが、プロから手ほどきを受けたむそう塾生たちは、おせち作りを楽しんでいます。
そうはいっても段取り面などで神経がピリピリすることはあるのですが、それでも、完成したときの達成感は、経験した者だけにわかる喜びです。

 
 

おせちは氏神様をお迎えするためのお料理です。
無事に1年間を過ごし、最後に感謝の気持ちを込めておせちを作って元旦を迎えることは、精神面での区切りもついて実に爽やかなのです。
お料理をしていると、自然に感謝の気持ちが湧いてくる経験は、誰しもされていると思います。

お料理を作りながら、1年間のあれこれを整理しているうちに、前の年よりお料理が作りやすかったり、早く出来上がったり、美味しくなったりして、自分の成長を知ることも喜びです。
そして、多くの皆さんが口を揃えておっしゃるのは、おせちの仕上がり時間が早くなってくるということです。
これはとても貴重な経験です。

 
 

今や、おせちを作れる人は本当に貴重な存在です。
そして、そのおせちがメチャクチャ美味しいとなれば、それはもう作ることが自分の存在を確認する手段でもあります。
まわりの人に喜んでもらえて、親孝行もできて、こんなに幸せなお料理はありません。

むそう塾では、おせちは廃れゆくお料理ではなく、「美味しいから作る!お料理」になっています。
そして、まわりの人が待っていてくれます。

すでに、今年の勉強会も2回のうち1回は終わり、あと1回の勉強会を残すだけになりました。
そして、気持ちはもう、10月頃から始まる「おせちの苦手克服講座」に向いています。
来年の(あ、もう今年ですが)おせちのことを話すときの塾生さんは、とってもイキイキとしていて素敵です。
共に戦う仲間みたいな連帯感の強さを感じます。

受験勉強と同じで、苦手なところをきちんと解明して、それを繰り返さない方法を学び、12月31日に向けて日々のお料理があるわけです。
日々のお料理技術が12月31日に集結するのは、なんとも快感ですし、誇らしいことです。
そして、そんな生き方が素敵だなぁと思っています。

 
 

(蟹錦糸巻き 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

おせち料理の中でも特に大人気。
薄焼き玉子の技術、巻く技術、刻む技術、色々な技術が要求されます。

 
 
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毎年レベルアップする「おせちの盛付秘伝講座」がすごかった

今年の単発講座の第1回は、1月8日に開催された「おせちの盛付秘伝講座」でした。
おせち投稿に関する記事は、私のブログでまとめてあります。
2023年度おせち投稿一覧(マクロビオティック京料理教室むそう塾) 2024.1.2

もともと「中川善博の盛付秘伝講座」というのが過去の単発講座にあって、そのおせち版に特化したのが「おせちの盛付秘伝講座」になります。
美味しいお料理が出来上がっても、盛り付けとなると何をどうしたらよいのかさっぱり分からない人が多いものです。
それで、プロの技術を学んで盛り付け上手になろうと始めたのでした。

ここで盛り付けと盛り込みの違いについて触れておきます。
「盛り付け」というのは、日常的にお皿に盛るときに使い、「盛り込み」というのは、お弁当箱や重箱などにお料理を詰めていくときに使います。
京都には「仕出し」の文化があるので、京料理人さんたちは盛り込み技術も大いに問われるわけですね。

 
 

「マクロビオティック京料理教室  むそう塾」としては、プロの技術を伝授していますので、当然「盛り込み」も大切にお伝えしています。
あえて「中川善博の・・・」としたのは、その前に辻嘉一氏の「盛付秘伝」という本があるからです。
その本については次の記事をごらんください。
「盛付秘伝」(辻嘉一著)には盛付けの奥義がいっぱい! 2016.9.20

京料理人中川善博が今までに蓄積してきたノウハウとともに、辻嘉一氏の奥義も詰まっている世界を伝授してきたのが、「中川善博の盛付秘伝講座」でした。
この講座の内容に一番惚れているのは、もしかしたらこの私かもしれません。
こんな記事もあるくらいですから。
「中川善博の盛付秘伝」の内容に身震いする! 2016.10.7

 
 

古い塾生さんたちは、辻嘉一さんの本も買って勉強したものです。
その延長線上にお弁当投稿があり、さらに「おせちの盛付秘伝講座」があります。
実際に手を動かしてみてこそ出てくる疑問があります。
それらの一つひとつに丁寧に答えていく講座は、むそう塾だけだと思います。

この講座は、おせちを盛り付けた後に開催するものですが、そもそもそのおせちを作るための講座は、昨年から「おせちの苦手克服講座 魚編」「おせちの苦手克服講座 野菜他編」として開催しました。
大人気で受講延べ人数は32名になりました。
(キャンセル待ちもありましたが空席が出ず)
この講座によって一気に力がついた人が多く、皆さんのレベルがグーン!と上がってビックリしました。

それで、1月8日の時点で、今年の秋に開催されるであろう「苦手克服講座」の受講ご希望者をまとめて伝えてくださったのには感動しました。
それほどこの講座を楽しみにしていてくれるなんて、やっぱりむそう塾生は凄い!と思いました。

 
 

そして今、まだその講座募集の記事も書いていないのに、次々と受講ご希望のご連絡が入ります。
X(旧Twitter)からのご連絡を、こちらの記事に反映しております。

なお、2月16日(金)に、もう一度「おせちの盛付秘伝講座」を開催しますので、ぜひご参加くださいませ。

 
 

おせちの盛付秘伝講座より 2024.1.8 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 
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マクロビオティックの指導現場から 玄米ご飯と保存の陰陽を再び

マクロビオティックに関して調べ物をしていたら、私の過去記事がありました。
懐かしい記事ですが、大事な内容なのでリンクしておきます。

 
 

マクロビオティックの指導現場から(2)目標と環境づくり 2014.1.2
マクロビオティックの指導現場から(3)解放エネルギーの必要性 2014.1.3
マクロビオティックの指導現場から(5)直感力・判断力・行動力 2014.1.16

マクロビオティックの指導現場から(6)間違いだらけの玄米選び 2014.1.22
マクロビオティックの指導現場から(7)お鍋の陰陽と玄米の炊き上がり 2014.1.23

マクロビオティックの指導現場から 玄米ご飯と保存の陰陽 2016.11.2

 
 

(京都市東山区にて)

 
 
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マクロビオティックの陰陽と 習い事における陽性の例

マクロビオティックでは陰陽で物事を判断をしますが、これは日常の色々な場面で簡単に判断できます。
たとえば、せっかちな人とのんびりした人では、せっかちさんが陽性で、のんびりさんが陰性という具合です。

この判断はどちらがよいというわけではなく、その時その時にピッタリであるのが一番よいわけです。
ですから、陰性さんがよい時もあるし、陽性さんがよい時もあるのです。

昔のマクロビオティックの本を読んでいる人は、陽性がよくて陰性は悪いと思い込みがちです。
私もそうでした(汗)
桜沢先生の本を読めば読むほど、陽性でなければ人間失格みたいな気持ちになったことがあります(笑)

「臨機応変」という言葉がありますが、まさに陽性と陰性が臨機応変に入れ替われたら、それが最高なのです。

 
 

それを前提とすると、習い事をする時は陽性な方が上達しやすいです。
陽性というのは、単に「速い」というだけでなく、「集中する」ことも大事な要素です。
集中というのは、一瞬の気のあり方だけではなく、「事前から気にかける」ことも含まれます。
ということは、事前に習うことを下調べすることも含まれます。
学校の勉強なら予習に相当しますね。

下調べしておくと、全体を俯瞰して見ることができるので、気持ちの焦りがかなり減ります。
こうすることによって、いざ本番というときに「集中力」が増すので、受け取る力も増します。
これが陽性の効果ですね。

 
 

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習い事にはもう一つ陽性の力がほしいところです。
それは、すぐ復習すること。
人の記憶力は時間とともに低下するのは誰でも知っていることですが、技術は繰り返すことが不可欠であり、その結果が体の記憶になってはじめて使えるものになるからです。
自転車乗りや水泳がその代表例だといえばお分かりいただけるでしょう。

ここまで到達した技術は、長い間使わないとちょっと勘が狂うことはありますが、ゼロになることはありません。
むそう塾でお教えしている「桂むき」と「出汁巻き玉子」は難しい料理技術なので、教えっぱなしではなく遠隔から指導できるように「投稿月間」を設けています。

 
 

今はその「出汁巻き投稿」の真っ最中ですが、ここで陽性さんと陰性さんの差が出てきます。
陽性さんの代表例が昨年のNamikaさんでした。
大変お忙しいお仕事をお持ちであるにもかかわらず、計画的に時間をやりくりして練習されていました。
そうなんです。陽性さんは時間の管理が上手なのです。

まわりの人の心理状態もよ〜く見抜いて、協力体制を整えてから投稿月間に突入されていました。
ですから、われこそは陰性と思われる方は、意識して陽性な行動を心がけましょう。
何かを会得するときは、陽性さが必要なのですから。

1か月でここまで上達したNamikaさんの記事を引用しておきます。
投稿期間中に課題を次々とクリアして行く姿は、見ていても惚れ惚れしました。
皆さんも頑張ってください!

出汁巻き投稿2022   Haさん(141-1)  最終投稿 2022.10.7

 
 

(Namikaさんの最終投稿記事より)

 
 
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