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中川善博のちょっと待ってや!

京都に生まれて半世紀を越え、いよいよ残りの人生のほうが少なくなってきた中川善博が、大胆に繊細に生きる毎日の中で「これだけは言うといた方がええんちゃう?」ということを下手くそな文で綴ります。 暇が余ってる時に読んでくだされば幸いです。

久司道夫先生の訃報を聞いて 

【掴んだ藁の1本が私の食養との出会いでした】

 

病に侵された家内を救おうと食養の勉強をしたのがマクロビオティックとの出会いである。 
オシャレやダイエットとは全く無縁の暗く辛い思い出しか無かった。
家内を亡くし、16年以上経営した料亭を閉めたのち、外食産業の商品開発を任され勤め人の時期を過ごした。 その時にウエブログ(後のブログ)を始めた。
ネットとの繋がりが私に外の情報を運んできてくれたのだ。  そしてそこにひっくり返るほどの可能性を見出してワクワクしていたのを覚えている。

ちょうどその頃にアメリカからマクロビオティックと呼ばれる食養が逆輸入されて美人になるとか痩せるとかで評判になり始めていた。
その中心人物が久司道夫先生であった。
毎日の仕事の合間にどんどん情報が集まって来て、来年クシインスティテュートの日本校ができるということを知った。
果たして陰性に思えるクシマクロビオティックを日本人にどう伝えるのだろうと興味の芽が日に日に育っていき、ついには退職して1期生への入学を決意してしまっていたのだ。
思ったら即行動に出てしまうのは陽性なのか、人生を切り替えるスイッチングの味をしめたのか自分でも判らないのだが。

はたして退職し、通勤用のバイクも売り、わずかに出た退職金もすべてつぎ込んでKIJ(クシ・インスティテュート・ジャパン)一期生に入学した。
アメリカから久司道夫先生も講義に来られ、毎晩食後に面白い陰陽の話しを聞かせてくださった。
終わりの時刻を過ぎてもどんどんハッスルして終わったのが23時というのもしょっちゅうだった。 きっと何年もこのペースではお話は聞けないだろうから貴重よ〜、とみどりさんの言を覚えている。

パトリシオ氏とも議論を交わしたし、調理実習の際に生徒なのに私の方が専門だからと天ぷらの揚げ方を教えたり、仕込みの手伝いをしたり、そうそう巻きずしの巻き方も指導したな。 (学費返せ〜(笑))

卒業近い日に久司道夫先生とお話をする機会があった。
「私は料理人で、精魂込めて綺麗に盛りつけて温度も味も香りも考えぬいて作り上げてもパクパクパクっと食べてしまえば終わり、次の朝には便器に流れてさようなら。 絵画や彫刻、陶芸家などの芸術家は羨ましいです。自分が死んでも作品は人の心を掴み続けるのですから。」 たしかこんな風なことを言ったと覚えている。
そうしたら久司先生は「絵や陶芸は食べられないではないですか。あなたが作る料理は食べられて命を創る素になるのです。決して消えてしまうわけではありません。これからは陰陽を駆使した料理であなたならではのマクロビオティックを広めていってください。」と言葉を下さった。
もうこの時に、この言葉を頂いただけで仕事を捨てて駆けつけた甲斐があったと思った。
もちろん「はい。わかりました。」と胸をはって返事をした。

 

 

もう久司先生には会いたくても会えなくなってしまいましたね。
私は陰陽を使って料理の素晴らしさを、マクロビオティックを広めていけてますよね?
もっともっと頑張りますので天国からいつものアルカイックスマイルで私を見ていてくださいね。  

 

ご冥福をお祈りします。

2014.12.29

カテゴリー: | コメント(8)

コメント

  1. みちよん より:

    中川さん、こんばんは
    いつも朝から夜遅くまでのご指導ありがとうございます。

    いつも中川さんのお料理をいただくと、「美味しいくて暖かくて清々しい」そう感じています。食べた人に間違いなく心にも体にも栄養になるお料理だと感じています。
    そして「ああ、中川さんのお料理は美味しかったなあ。また食べてみたいな。」そう思っています。

    中川式玄米の炊き方から始まって、ご自分の今までの経験、陰陽の考え方を取り入れたお料理を惜しげも無く私たちに教えてくださることに毎回感謝しかありません。
    上手に言葉にすることが難しい私ですが、久司先生と中川さんのお話もとても心に染みわたりました。

    • nakagawa より:

      みちよんさん コメントありがとうございます。
      ほんの僅かな一瞬ですが久司道夫先生と同じ空気を吸えたのは貴重な経験でした。
      できることならば桜沢先生にも大森先生にもお会いして私の玄米ご飯や料理を食べてみてもらいたかったです。
      そして叱られてみたかったです。
      これから私が指導する皆さんへは大先生がたが残された遺産を私なりに咀嚼して消化してお伝えしていくつもりです。
      宜しくお願い致します。

  2. ふみよ丸 より:

    中川さん、こんばんは。

    >絵や陶芸は食べられないではないですか。あなたが作る料理は食べられて命を創る素になるのです。決して消えてしまうわけではありません。これからは陰陽を駆使した料理であなたならではのマクロビオティックを広めていってください。

    久司先生のことは、あまり存じ上げてなかったのですが、上記の言葉を聞いて、素晴らしい方だなあと思いました。

    中川さんの作られるお料理は、「美味しい」と言うのとはちょっと違って、上手く言葉で言えませんが、なんとも心が満たされるのです。

    ふわっと優しい気持ちになって、「幸せやなぁ♡」と心の奥から満たされるんです。

    そんな中川さんから、お料理を直接教えて頂けることが、とてもありがたいです。

    時には、こんなに優れた指導者についていながら、呑み込みが悪い自分が情けなくなってくることもあります。

    けれどこの同じ時に生きているからこそ、叱ってももらえる。
    すごく有難いなって、記事を拝読して思いました。

    これからもご指導、どうぞよろしくお願いいたします。

    久司道夫先生、
    先生の一言がむそう塾へと繋がり、今こうして私もマクロビオティックを学ばせて頂いております。
    ありがとうございます。
    ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

  3. nakagawa より:

    ふみよ丸さん コメントありがとうございます。
    私は久司道夫先生に料理を習ったわけではないのですが、料理する者の陰陽の使い方、考え方を認めてもらった気がしました。
    その私から料理も陰陽も習おうとしてくださるあなたに私は感謝せねばなりません。
    でないと伝承、継承が途切れてしまうからです。
    後に残った者の使命としてもっともっと強く優しく伝えていこうと思います。
    イタズラに広げませんよ。
    浅く広くは私の本意じゃないので。

  4. みたはるこ より:

    はじめまして
    久司道夫先生の訃報を機に、中川様のサイトにも辿り着きました
    久司先生やパトリシオ先生との思い出話、想像しながら読んできもちがあたたまりました
    有難うございました!

    毎年、久司先生が来日されるたびに講義を聞きにいくようになり、楽しいお話しをたくさんしてくださいました。
    来年は会えないかもしれないと覚悟しつつ、また翌年に会えていることに感謝してきました。
    さみしいです。
    年末にお別れをするのは、有る意味久司先生らしいとも思えました。
    来年から、新たな気持ちで、マクロビオティックを自分の身の丈で遊んでみたいと思います

    • nakagawa より:

      みたはるこさん コメントありがとうございます。
      ようこそむそう塾のサイトへ。
      これからもどうぞお気軽にお越しください。たくさん読むところがありますのですべて読み尽くしてもらうまで長くお楽しみいただけると思います。
      マクロ美風さんのブログも中川善博のブログも内包されておりますので、じっくりお楽しみください。
      久司道夫先生の思いをむそう塾流に理解して咀嚼してより日本人に合うように消化したものをこれからもお伝えしていきます。
      どうぞ宜しくお願い致します。

  5. すたん より:

    ご無沙汰しておりました(たまに読んでおりましたが)。
    今年は巨星がいくつも墜ち、来年から訪れると言われている激動の時代をなんとも象徴するようでしたね。
    年の瀬に久司先生まで…
    中川さんの「ほんまもん」っぷりが伝わる素晴らしいエピソードでしたね。
    胸が震えます。
    むそう塾で学べる人達は本当に幸せ者ですね〜。
    敷居をまたげぬ私は遠い新潟の空の下で、冗談抜きで毎日毎日中川さんのカミナリを思い浮かべながら日々仕事しております。

    来年はコーヒーを飲みに行きます!笑

    • nakagawa より:

      すたん君  コメントありがとうございます。
      逝く人を惜しむより、残されし者が「どうするのか?」を考えて行動することのほうが巨星たちは喜んでくれると確信しています。
      でないと寂しくてめそめそする人が溢れそうで陰性で嫌ですからね。
      残されし者の端くれとして私は独りになっても頑張ります。

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