引越しがすきです。
二年に一度のアパートの更新日が近づいてくると、そわそわと物件を探し始めるほどです。
実際、独り身の時は更新日を越えて同じところに住み続けたことはありませんでした。
なぜ、引越しがすきなのか。
不要な物を捨てられてすっきりできることが、その理由の一つかなと思います。
「引越すから」という言葉一つでかなりの物を思いきることができます。不思議なことに「なんでこれを後生大事にとっておいたんだろう」と思うものが毎回かならず出てきます。
日頃あまり思いきりが良くないわたしにとって、引越しはすっぱり決別できるいい機会なのです。
次に暮らし癖がリセットできること。
間取りがかわるので、同じ家具を置いていても部屋の景色がガラリとかわってきます。
配置を考えるのに間取り図とにらめっこしながら生活動線を見なおしたりしているうちに、自分の暮らしぶりを俯瞰でとらえることができます。
わたしは日々のことにとらわれてつい視野が狭くなりがちなので、こういう時間が大切なのだと思います。
そして一番の理由は、環境がかわること。
海が近かったり街の真ん中だったり、目に見える環境はもちろん、その場所によってご近所さんの様子もかわります。
おすそ分けの慣習があるところ、住民同士ほとんど交流がないところ。こどもが多いところ、年輩者が多いところなど、いろいろです。
そんななかで経験できること感じることも様々です。
チクっと刺さるような出来事があったら、自分の言動も見直します。気持ちがあたたまることが起きたら感謝の気持ちを思い出すことができます。
そういえば、こどものころから人の中に紛れて「あぁ、この人はこういう時に怒るんだ」「楽しい時はこんな仕草をするんだ」と観察して自分だったらと想像するのがすきでした。
マクロビオティックを知ったいまでは、陰陽にあてはめて考えることもたのしくなってきました。
自分に自信のないわたしは、いつも一歩も二歩もうしろに引いてしまっています。
一歩前へ踏み出すということが、まだまだ苦手です。
まるで自分のまわりにかたい殻をまとい、その中から外の世界をうかがっているようです。
引越しをすると自分をとりまく環境はくるりとかわります。チクリと刺さるような出来事も刺さってくる方向が、気持ちがあたたまる出来事はその温度がかわってきます。
わたしは殻越しに感じる、そのくるりとかわる感覚がなんともすきだったので、引越しを繰り返していたのだと思います。
自分発信でかわるのが苦手なわたしは、まわりの環境をぐるっと力技でかえることで、すこしずつかたい殻にヒビをいれてもらおうとしてきたのかもしれません。
ここ数年、引越しができない中でその感覚が得られないことに不満を感じてしまっていました。
でも最近になってやっと、そのせいにするのはずるいな、中からも殻を破っていけるはずなのにな、と思うようになりました。
桂剥き投稿で感じたあの気持ち、得ることのできたかけがえのないものを忘れずに、前に。
【2016. 7.19 秋乃記】
<マクロ美風より>
私も引っ越しが大好きなので、あなたの書かれているお気持ちはとてもよくわかります。
環境が変わると気持ちがスッキリして、血液がグングン流れるような気持ちになりますよね。
私もちょうど1年前に京都に部屋を借りて、久しぶりにその感覚を想い出しました。
今は落ち着いてきて、新しい場所の陰性さを楽しんでいます。
ところで、環境を変えて自分をコントロールするのは、ある意味で受け身なんですよね。
それはそれで良いことも多いのですが、それに頼りきってしまうと、受け身のままの人生になってしまいます。
それはマクロビオティックの陰陽でいうと陰性なので、「積み重ねる陽性」を意識して暮らしてみるのも良いと思います。
同じ場所に住み続けるのは時間という陽性がありますね。
桂剥き投稿期間は、ひたすら積み重ねの時間でした。
そしてあなたは桂剥き美人に選ばれてまな板をゲットしました。
(どうやら、使わずに大事にとってあるようですね 笑)
そのまな板はご自分で頑張って殻を破った結果です。
しょっちゅう引っ越しを繰り返す暮らし方は、根無し草という表現があるように、それは陰性な生き方になります。
(動くから陽性という考え方とはちょっと違いますね。)
あなたの中には強い陽性があります。
(陰性さもしっかり同居していて厄介ですが)
その陽性さを処理しきれなくなって転居を選ぶのです。
上手に陰性を取り入れると、案外同じ場所でも平気で暮らせるようになりますよ。
視線をもっと大きなもの(陰性)に向けましょう。
大きければ大きいほど、早く陰陽変化が起こります。